研究課題/領域番号 |
20K13010
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研究機関 | 神田外語大学 |
研究代表者 |
冨岡 裕 神田外語大学, 外国語学部, 講師 (90816505)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 消滅危機言語 / 言語復興 / 沖永良部 / 社会言語学 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、少数言語の消滅リスクを推定するための指標、特に専門家や研究者だけでなく少数言語話者集団の当事者らが用いることができる評価指標を開発することである。指標の開発にあたっては、少数言語話者集団で混合調査法を用いた現地調査を行い、実際に消滅危機リスクを推定する。これらの研究活動を通じ、消滅危機リスクの推定に必要な評価項目や、言語移行を加速させる要因として重視すべき要因を考察するものである。 しかし、2020年以降の新型コロナウイルスの感染拡大の影響により、国内外での現地調査を進めることができず、研究計画の大幅な見直しを余儀なくされた。加えて、オンライン調査や2021年度後期に現地調査が可能だった鹿児島県沖永良部島においては、既に消滅危機リスクが当事者の間で認識され、地域言語の再活性化に向けた気運が高まっていることが明らかとなっていた。そこで、2022年度は沖永良部島を対象とした研究成果の社会還元に重点をおき、次のような活動を実施した。 (1)島内の小学校における国際理解の出前授業(2021年度より継続):研究代表者の専門分野でもあるタイ語を題材とし、他地域の言語・文化の多様性に触れることで、児童らが沖永良部島の言語・文化についても相対化して意識する機会を創出することを狙った。 (2)地方自治体や関連組織と連携しての講演・勉強会:島内で教育に携わる人々や、言語習得期にある子供を持つ保護者らを対象に、研究代表者がこれまでに調査した東北タイにおける少数言語の状況等を紹介し、言語移行や再活性化に対する知見を深めてもらい、沖永良部における地域言語再活性化に関する意見交換を行った。 (3)しまむに社会調査中間報告会:方言サミット開催に合わせ、これまでに実施したライフストーリーインタビュー調査の分析結果を、中間報告として、調査協力者やその関係者を対象に報告した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
新型コロナウイルス感染拡大継続の影響により、2022年度も海外現地調査が実施できなかった。 国内出張は可能となったため、鹿児島県沖永良部島における社会貢献活動を軸に研究活動を行った。インタビュー調査を含む研究活動や、地域の人々との関わりを通じ、同島では既に地域言語の消滅危機リスクが認識されており、再活性化に向けた気運も高く、具体的な活動も始まっていることが明らかとなっていた。そこで、本研究課題の新たな位置付けや価値を検討した結果、当該地域が今、研究者に対して期待している研究成果の還元を行うことが重要であると判断し、出前授業や講演会といった社会貢献活動に比重をおくこととなった。
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今後の研究の推進方策 |
新型コロナウイルスの世界的感染拡大の影響により、複数の少数言語話者集団において中長期の現地調査を行う、という当初の計画を遂行することは不可能または困難となってしまった。そのため、調査地は鹿児島県沖永良部島に絞り、本研究課題を進めることとなった。 その結果、2021年度後期以降に始めた地域社会への貢献活動(出前授業、講演会、勉強会など)を通じて、地域言語の再活性化に携わる人々のネットワークを広げたり、当事者と研究者が共に考えながら、同島の社会背景に応じた地域言語再活性化活動を探ることができたと考えている。 今後は、これまでの研究活動や社会貢献活動を通じて当事者との間に醸成されつつある信頼関係を生かした研究活動を進めていく。つまり、消滅危機リスクの評価指標の開発に固執せず、地域言語再活性化にまつわる様々な要因について広く調査分析していく。例えば、地域言語が衰退し消滅の危機に瀕するようになった要因は何か、再活性化を目指す上で有効な手段は何か、それらの手段には普遍性や地域差はあるのか、といった「問い」への答えや提言をもたらすことを目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
国内外での現地調査を前提とした使用計画を立てていたが、新型コロナウイルスの世界的な感染拡大の影響により、2021年度後期まで現地調査を実施することができなかった。そのため、研究および研究費の執行が予定よりも遅れ、次年度使用額が生じた。 次年度使用額は、現地調査で得たデータを整理するための業務委託費用、社会貢献活動を目的とした鹿児島県沖永良部島への渡航費用、学会参加など研究成果の発表に係る費用に充てる予定である。
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