本研究では、日本語レキシコンに関する語彙統計・形態構造・行動実験データを統合した語彙データベース「日本語レキシコンプロジェクト」を開発し、先行研究における理論・実験形態論の研究成果に基づいて評価することを目的とする。また、開発した語彙データベースは、オープンアクセスとして一般に公開する予定であり、形態論・レキシコン研究のみならず、心理言語学・応用言語学・自然言語処理・リハビリテーションなど広範な隣接分野に対する学術的・社会的インパクトが期待される。 今年度は、2021年度に引き続き、日本語レキシコンプロジェクトの開発を実施した。まず、国立国語研究所の「分類語彙表」をPythonプログラムで解析し、日本語レキシコンプロジェクトの元データを作成した。また、研究室の大学院生をリサーチ・アシスタントとして雇用し、各自の専門領域に応じて「動詞班」、「形容詞班」、「名詞班」に割り振った上で、影山太郎氏の『意味と構文』シリーズ(大修館書店)をデータ化した。加えて、2020年度に実施した形容詞に関する基礎研究の成果を国際会議Japanese/Korean Linguistics Conference 30で発表し、日本英語学会第36回大会で企画したシンポジウム「言語理論における形態論の「分散」をめぐる諸問題」に基づく論文集『生成形態論の新展開(仮)』(開拓社)およびDavid Crystal (2019) The Cambridge Encyclopedia of the English Languageのレキシコンに関する章「第12章 レキシコンの諸側面」を翻訳した『ケンブリッジ英語百科事典』(朝倉書店)を出版する予定である。
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