研究課題/領域番号 |
20K13015
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研究機関 | 国立研究開発法人理化学研究所 |
研究代表者 |
奥野 晶子 国立研究開発法人理化学研究所, 脳神経科学研究センター, 研究員 (70848944)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 言語発達 / こども / バイリンガル |
研究実績の概要 |
本研究は、文章産出課題と視線計測を用いながら、言語が認知プロセスに影響を与えるメカニズム及び、認知が言語に与えるメカニズムの解明を目的とする。その方法として、3,5歳のこどもを対象に、短い出来事を描いた絵を見たとき、どこに注目してどのようにそれを表現するのかを調査する。 2021年度はこれまで既に取得していた英語モノリンガルと英語モノリンガルのこども・成人の発話の違いを比較したデータをThe International Association for the Study of Child Language (IASCL) 2021 VIRTUAL CONFERENCEにて発表した。 また、コロナ禍により調査実施が困難であったため、これまでのデータに関して、新しく絵の背景または人物のどちらをどの順番で発話しているのか、新たなコーディング方法でこれまでのデータを解析し、更に5歳の日本語モノリンガルとのデータの解析を行った。 2022年度は感染状況を鑑みながら実験実施し、データ収集の進捗が芳しくない場合は、これまでのデータをまた別の角度でコーディングするなど行い、研究にアプローチしていく。 更にコロナ感染症の状況を見て、実験室に来ていただいて実験者が同席しての実験が難しい場合は、実験計画の変更を予定している。その際は実験者の代わりに、保護者の方に対してこどもが絵について説明してもらうようにする、オンラインで絵について説明してもらい、視線計測の代わりに記憶課題をくみあわせて実施するなどして対応する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
本調査はお子様に実験室まで来ていただき、対面で実験者とやりとりしながらの調査である。そのためコロナ感染症拡大に伴い、調査実施が困難であった。また研究実施者の所属が2021年度に変更になったことにより、調査環境やコロナ感染症対策も異なり、実施するに伴い計画の変更しなければならない点があったため、調査は遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
この課題では、人が簡単な動作 (e.g. 鍵を落とす 、ドアの開閉)を行う短いビデオクリップを実験参加者に見てもらう。この出来事を描写してもらった際の文章タイプ、行為者・被行為者の描写頻度などを分析する。それと同時に、文章産出 前後に、行為者・被行為者への注視時間や、注視回数と順序を調べる。
文章について説明してもらう際、これまでの実験計画では実験者が参加者のとなりにいて、実験者に説明をしてもらった。しかしコロナ感染症対策のため実験者の同席が困難となる。そのため状況によっては、3つめの実験として計画していた、ある出来事を描写する文章を見聞きした後、その出来事の映像を見てもらった際、文章によって注意を向ける箇所が変化するかを調べる調査を先に実施する。またご家族の同席に関しては感染症対策として実施が可能であるため、子どもが親に向かって説明をしている時の発話をとるようにと計画を変更する。また調査室に来ていただいての実施が難しい場合は、少しでも研究を推進するため、視線計測は難しいが、オンラインで絵についての説明、また先ほど見た人物はどちらかなどの記憶課題を組み合わせるなど実験計画を変更して調査を実施する。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ感染により学会参加や調査実施が困難であり、また異動先のラボに視線計測の機器やソフトがあったため視線計測機器やソフトの購入を先送りしていた。 しかし、ラボでの調査も再開されてアクセスする機会が減るため、今年度はもともと購入を予定していた視線計測ソフトを今年度購入する。また調査室まで来所していただかなくとも実施できる研究計画を新たに予定しているため、オンラインでの調査実施用にPCを購入や、その謝金を参加者の方々に支払う。
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