研究課題/領域番号 |
20K13027
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
大辺 理恵 大阪大学, 言語文化研究科(言語社会専攻、日本語・日本文化専攻), 講師 (80648949)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 法助動詞の多義的意味の歴史的変遷 / ムード(法)と法助動詞の関係性 |
研究実績の概要 |
2021年度春・夏学期は、新型コロナウイルスの感染状況が悪化したため、授業形態が一定せず本研究に予定していたエフォート率を再び教育の方にシフトせざるを得なかったが、春・夏学期以降は昨年度より準備を進めていた学会発表に注力することができた。 2021年10月15日に予定していた「Selskab for Oestnordisk Filologi(東ノルド諸語文献学学会」にて、「Wilia (ville)s semantiske tistand i gammeldansk(中世デンマーク語における wilia / ville の意味について)」というタイトルでオンラインで研究発表を行なった。発表では、現在デンマークにおいて歴史言語学的アプローチを用いた研究を行なっている主たる研究者であるEva Skaften Jensen氏(デンマーク国語審議会)やLennart Westergaard氏(ルンド大学・博士後期課程)またSune Gregersen氏(コペンハーゲン大学・助手)から有益なコメントが数多く為された。この発表に基づき、2022年3月末日には、当学会に「Villes semantik i gammeldansk(中世デンマーク語におけるvilleの意味体系」というタイトルで論文を提出し、現在査読中となっている。 またこの学会への参加を契機として、Muriel Norde氏(フンボルト大学・教授)、Phil Beier氏(フンボルト大学・博士後期課程)、Kevin Muller(チューリッヒ大学・ポスドク)とともに2022年9月にベルリン・フンボルト大学にてゲルマン諸語を対象とし、ムード(法)と法助動詞との関連性をテーマとしたワークショップを開催することとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
昨年度の新型コロナウイルス感染状況を原因とするエフォート率の教育への大幅なシフトの影響が取り戻せていない。また、勤務する所属機関における研究科編成の改変に伴い、諸々の会議等に時間を割く必要にも迫られたことや、自身の研究室メンバー(常勤)が疾病により休職することになったこともあり、当初予定していたほどの時間を本研究に割くことができなかった。 その結果として、2021年度は例文収集・分析の対象をvilleという1つの法助動詞に絞らざるを得なかった。したがって、ville以外の法助動詞に関する例文収集・分析がかなり遅れてしまっている。
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今後の研究の推進方策 |
2022年度には9月に「Expressions of modality in Germanic: Competition and change(ゲルマン諸語におけるモダリティの表し方:競合と変化)」というタイトルでベルリン・フンボルト大学にてワークショップ(ハイブリッド)を開催する予定である。ともに開催に関わる研究者は、Muriel Norde氏(フンボルト大学・教授)、Phil Beier氏(フンボルト大学・博士後期課程)、Kevin Muller(チューリッヒ大学・ポスドク)である。ただ研究代表者自身は、新型コロナウイルスの感染状況と2022年2月以降のヨーロッパの不安定な状況を鑑みて、ハイブリッドにて参加する予定である。 また、2022年度にはLennart Westergaard氏(ルンド大学・博士後期課程)とともに「villeの意味ーその歴史的変遷ー」というタイトルでの共同論文の執筆を準備する予定である。 これらと並行して、ville以外の法助動詞の意味の変遷についても、調査・分析を進めていく予定にしている。
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次年度使用額が生じた理由 |
2021年度に行なった学会発表がオンライン発表となったことで、当初予定していた旅費を支出する必要がなくなったため。また、本研究の進捗状況が原因となり、当初予定していた人件費を充てる作業にまで至らなかったため。 2022年度においても海外渡航は難しいと考えているが、人件費については対面での業務も可能になっているため、2022年度の早い段階から作業の開始を検討している。 また2021年度と同様に、必要な書籍の購入を行なうことを予定している。
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