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2023 年度 実施状況報告書

オーストロネシア化したフィリピン狩猟採集民言語の言語人類学・認知言語学的研究

研究課題

研究課題/領域番号 20K13029
研究機関兵庫県立大学

研究代表者

木本 幸憲  兵庫県立大学, 環境人間学部, 准教授 (40828688)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2025-03-31
キーワード語彙の細分化 / フィリピン / 言語と文化
研究実績の概要

①アルタ語、カシグラン・アグタ語、ブッカロット語(キリノ方言)の語彙収集
フィリピンのキリノ州で話されている3つの狩猟採集民言語について、語彙調査を行った。アルタ語は、カシグラン・アグタ語の辞書(Headland and Headland 1977)に従って、その項目に対応するアルタ語の語彙と、その語の文法的振る舞いを調査した。また、アルタ語と対照するために、同じ地域に居住するネグリート言語であるカシグラン・アグタ語(Casiguran Agta)、狩猟採集民であるが非ネグリート言語であるブッカロット語(キリノ方言)の対照研究を進めた。特に「イノシシ」「サル」「シカ」という動物語彙が成長段階や雌雄に応じてどのように言い分けるかについて調査を行った。その結果、ネグリート言語であるアルタ語とカシグラン・アグタ語に細かい区分が見られ、同じ狩猟採集民であるが非ネグリート言語であるブッカロット語はやや語彙の区分が大まかである傾向が見られた。

②補文節と命題の概念的埋め込みに関する研究
昨年度から引き続き、物語コーパス中の文における命題の概念的埋め込みが補文節をはじめとした構文でどのように現れるかについての対照研究も進めている。特にフィリピンの言語では、アルタ語とイロカノ語をデータに組み込み、「発話」「思考」「蓋然性」などで命題をフレーミングする場合、どのような構文が用いられるかを調査したところ、アルタ語では並置節が優勢、イロカノ語ではやや補文節が優勢であることが分かった。通言語的研究から、この差は言語の形式的特徴(類型論的特徴)というよりも、社会言語学的・ジャンル・スタイルの差に求められることを明らかにした。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当初の目的であったフィリピンネグリートの言語研究に加え、狩猟採集民であるが非ネグリート言語であるブッカロット語の調査も進めることができたため。

今後の研究の推進方策

追加の調査を進めるとともに、本研究の成果を研究論文として共著でまとめている段階であり、それを出版する予定である。

次年度使用額が生じた理由

英文校閲代が不支出で済んだことや旅費などに関連する計画が一部先送りされたため。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2024 2023

すべて 雑誌論文 (2件) (うちオープンアクセス 2件) 学会発表 (2件) (うち招待講演 1件)

  • [雑誌論文] 話し言葉に補文構造は必要か:言語類型論から見た位置づけ2024

    • 著者名/発表者名
      木本幸憲
    • 雑誌名

      日本認知言語学会論文集

      巻: 24 ページ: 508-513

    • オープンアクセス
  • [雑誌論文] Fumino Horiuchi, <i>English Prepositions in Usage Contexts:A Proposal for Construction-Based Semantics</i>(Hituzi Linguistics in English 35)2024

    • 著者名/発表者名
      木本 幸憲
    • 雑誌名

      語用論研究

      巻: 25 ページ: 160-170

    • DOI

      10.60414/pragmatics.25.0_160

    • オープンアクセス
  • [学会発表] have 言語としての英語、be 言語としての日本語の 2 項対立を超えて:認知文法の「捉え方」と言語類型論2023

    • 著者名/発表者名
      木本幸憲
    • 学会等名
      日本英文学会九州支部第76回大会
    • 招待講演
  • [学会発表] 話し言葉に補文構造は必要か:言語類型論からみた位置づけ(ワークショップ「使用基盤の言語学への相互行為的アプローチ」)2023

    • 著者名/発表者名
      木本幸憲
    • 学会等名
      日本認知言語学会第24回大会

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公開日: 2024-12-25  

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