単純状態を叙述する「なっている」と「変化」を表す中国語の文末助詞“了2”、韓国語の「-key toy-e iss-ta(-く/になっている)」の成立条件について、2つの対象を比較する状況を中心に考察した。初年度は「なっている」と“了2”について考察し、両者の成立条件の共通点と相違点をまとめた。[共通点]①同様であると思っていた2つの対象の属性がわずかに異なると認識した状況で用いることができる。②視覚によってとらえられる属性を比較する状況で広く成立する。③評価的な形容詞とはなじまない。[相違点]①形状と種類が異なる2つの対象の大きさを比較する状況で、「なっている」は成立しないが“了2”は成立する。②背丈のように内在的な力によって変化する対象を比較して叙述する状況で、「なっている」は成立しないが“了2”は成立する。③比較対象が眼前に存在しない状況で「なっている」は基本的に成立しないが、比較対象の大きさを具体的に想起しやすい場合や2つの対象の属性が同様であるという背景知識に基づく前提がある場合には成立する。“了2”はそうした前提がなくとも成立する。④対象が必要とされる大きさ、高さという臨時に設定された基準に合致しないことを述べる状況で「なっている」は成立しないが“了2”は成立する。以上より、“了2”は「なっている」に比べて成立しやすいことが明らかとなった。次年度は「-key toy-e iss-ta」について考察した。「-key toy-e iss-ta」は「なっている」や“了2”が表し得るような認識的変化を表すことはできず、a)対象に差が存在することに相応の意味があることを把握している状況、b)(結果的に)対象に差が存在するかたちでつくられたこと自体を問題とする状況で成立する。また、「なっている」や“了2”と同様に、評価形容詞とはなじまない。
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