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2023 年度 実施状況報告書

使用基盤モデルによる子どもの語彙と構文知識の習得についての研究

研究課題

研究課題/領域番号 20K13035
研究機関明治学院大学

研究代表者

鈴木 陽子  明治学院大学, 教養教育センター, 准教授 (10735848)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2025-03-31
キーワード使用基盤モデル / 語彙習得 / 動詞 / 使用頻度 / 構文 / コーパス / 話しことば
研究実績の概要

本研究は、子どもと養育者の自然発話コーパスを用いて、子どもの語彙知識と構文知識の習得プロセスを理論的かつ実証的に探究することを目的としている。具体的には、以下の研究項目について英語と日本語の動詞を対象に分析する。(i)言語使用における非対称性、動詞と構文の習得過程の記述:養育者によって動詞がどのような構文で使用されているか、その使用にはどのような分布的特徴がみられるか。それに応じて子どもはどのような言語使用をしているか、その習得課程を記述する。(ii)誤用分析:言語使用、とりわけ語彙知識と構文知識について、どの部分に誤りがあり、どの部分が正確に理解されているのかを明らかにする。(iii)語彙と構文知識の習得がどのように関連し合っているのか、そのメカニズムを解明する。
2023年度は、子どもと養育者の発話データにおける動詞の動詞形に着目し、高い頻度で使用される動詞形の種類について子どもと養育者の使用を比較した。さらに、使用頻度の高い動詞形を手がかりにして子どもが自動詞と他動詞の意味と形を区別することが可能であるかを検証した。テイル形やタ形といった動詞形の使用頻度についてクラスター分析を行なった結果、対象とした動詞を概ね自動詞群と他動詞群に分けることが可能であることを確認した。このことは、子どもが特定の動詞形の出現頻度から統計的学習を行い、自動詞と他動詞といった動詞のタイプを区別できることを示唆している。この成果について論文を執筆し、雑誌にて出版した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

2023年度は、当初の予定通り語彙知識と構文知識の習得プロセスについて分析と考察をした。対象とした動詞に関しては、子どもと養育者の使用頻度が相互に関連していることを確認でき、その成果について報告を行なった。しかし、動詞やその動詞が使われる構文の知識が抽象化していくプロセスを明らかにするためには、子どもがその時期に使用できる動詞全体を見渡して、個々の動詞の発達度合いを比較する必要があり、そのような分析や考察は十分に進めることができなかった。

今後の研究の推進方策

今後は、対象とする動詞の範囲を広げ、あるいは一つの意味領域にかかわる複数の動詞の発達を比較しながら、子どもの語彙知識や文法知識の発達過程を観察し、語彙知識の習得と構文知識の習得プロセスがどのように連携しながら発達していくかを考察する。日本語話しことばの特徴についても考察を進め、得られた結果を踏まえ、国内外で開かれる学会やジャーナルにて研究成果の報告を行う予定である。

次年度使用額が生じた理由

2020年度以降オンラインでも参加可能な学会やシンポジウムの開催が増えたため、旅費が当初の予定ほどにはかからなかった。2024年度には、語彙知識と構文知識の習得プロセスについて分析や考察を進め、成果を論文としてまとめるにあたり必要となる書籍やその他消耗品費等に研究費を使用する予定である。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2024

すべて 雑誌論文 (1件)

  • [雑誌論文] ペアを成す自動詞と他動詞の習得における動詞形の有効性についての考察2024

    • 著者名/発表者名
      鈴木 陽子
    • 雑誌名

      カルチュール

      巻: 18 ページ: 53-60

URL: 

公開日: 2024-12-25  

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