研究課題/領域番号 |
20K13037
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研究機関 | 関東学院大学 |
研究代表者 |
山下 里香 関東学院大学, 経済学部, 准教授 (70774206)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 移民 / 多言語使用 / 言語景観 / SNS |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、宗教コミュニティに属する移民二世は、多言語使用(translanguaging)を通じて、どのようにアイデンティティを構築するのだろうか、という問いに答えるものである。日本とオーストラリアにおいて、オフラインとオンラインの相互行為を収集し、相互行為社会言語学・言語人類学の観点から、多言語使用(translanguaging)の質的な分析を行うものである。 当該年度は、世界的な感染症の拡大のため、計画されていた海外における現地調査が全く行えず、国内の現地調査もほとんど行えなかった。一方で、計画にあったもののうち、SNSなどのオンラインのデータの収集と分析を実施することができた。そのため、現地調査の分のエフォートを集中することができた。そのため、オンラインでの言語使用に関する研究が予定よりも進展した。 成果として、複数のルーツをもつ若者のSNSにおける言語使用とアイデンティティに関連する論文(海外書籍の論集)を1本執筆し投稿することができた(2021年度初頭に刊行)。また、採択前のパイロット調査のデータと、オンラインの調査、国内での現地調査で得られた知見をまとめ、日豪のパキスタン料理店の言語景観とナショナルアイデンティティに関連する論文(国内書籍の論集)を1本執筆し投稿することができた(2021年度内に刊行予定)。年度内に計画されており採択済みだった国際学会の発表は全て翌年度に延期となったため、国際学会の発表が行えなかった。しかし、発表に必要な準備は進んでいる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
コロナウイルスの世界的な蔓延により、豪州での調査や、国内の対人の調査はできなかった一方で、オンラインの研究会や国際研究大会で情報交換をすることができ、当初からの予定にあったオンラインの言語使用の研究については、データ収集と分析の点で、大きな進展があったため。
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今後の研究の推進方策 |
今後もオンラインの調査を継続するほか、感染症の状況を見ながら、1年目、2年目にあった計画の通り、国内・海外での現地調査を行う。また、刊行される論文を通じて、議論が進むことが予測される。国内の関連研究会・学会のみならず、オンラインの国際学会に参加し、成果発表や情報交換を行い、調査と分析を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
前年度は、コロナウイルスの蔓延により、計画されていた海外および国内の現地調査や学会発表のための出張ができなかっため、次年度使用額が生じた。次年度は、前年度および当該年度に予定されていた海外および国内における現地調査を、感染症の拡大がおさまり、調査対象地域や調査協力者の安全が阻害されない状況になり次第、現地調査で相互行為のデータがとれるように調整をし、データ収集と分析を行う予定である。また、引き続きオンラインデータの収集と分析や、これまでの成果を国際学会および国内学会で発表し、議論をする。
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