本研究は、琉球諸語内の言語バラエティを前提とした、方言相互の共通性や創意性をふまえた方言個別の詳しい記述を行った。先行研究が少ない受動、使役、授受に関わる言語現象について研究を行ったため、新しい言語事実を発見できた。さらに、その言語事実について琉球諸語内の言語バラエティを根拠にした理論的説明を行うことができた。また、調査地点の中には、文法研究がほとんどされてこなかった地域もある。母語話者がいなくなった後もその方言を継承していくためには、できる限り詳しい文法記述を残すことが必要である。本研究は、危機言語の継承と再活性化および方言教育への寄与という地域社会に対する貢献にも繋がっていくものである。
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