研究課題
若手研究
主な成果は二つある。一つ目は、述部が先行発話に影響を受けて前置する場合があることを明らかにしたことである。述部が先行発話の言い換えや繰り返しになっている例である。二つ目は副詞を例として、後置の用法を明らかにしたことである。〈本当に〉は話題の終盤の発話で述部に後置し、話者の心的態度を示す用法がある。〈たぶん〉や〈絶対〉などは、発話態度の変更や、発話態度を示す表現の追加のために後置になる場合がある。
現代日本語の話しことば
くだけた雑談における発話では、書きことばのような順番どおりに語が並ぶわけではない。書きことばを基準にして考えれば整っていない「破格」であるようにみえる発話であっても、話しことばにおいては不自然に感じられないことが多い。後置現象の分析によって「文」としては破格でも、「発話」として成り立っているのはどのような発話なのか、また、そのような「発話」がどのように機能しているのかを明らかにすることができた。今後の話しことばの研究にもつながるもので、本研究には意義があると考えられる。