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2022 年度 実施状況報告書

大正・昭和期の作文資料の国語学的展開

研究課題

研究課題/領域番号 20K13057
研究機関京都橘大学

研究代表者

高谷 由貴  京都橘大学, 発達教育学部, 助教D (80866864)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2024-03-31
キーワード接続表現 / 引用 / コーパス
研究実績の概要

近世・近代から現代における口語を反映した資料の国語学・日本語学における活用、それらを利用した通時的な記述をめざし、2022年度は3件の発表、および、1件の論文を発表した。具体的には、明治以降の大正・昭和期についての言語データ,および現代日本語データを用いた引用形式の分析を行った。
研究発表で取り上げた形式は,発話や思考の引用に使用される「と」と「って」という2つの助詞である。両者は談話で用いられる位置に差があることが指摘されている。「と」は談話の開始部分,終結部分に現れやすいという。
本研究では「と」が,「まとめ上げる機能を有する」と考えることで「と」の出現位置の特徴を説明することを目指している。 具体的には,まとめ上げを行うとされる他の形式と「と」は親和性が高く,「って」はそうではないことを報告した。「ということで/??っていうことで」「とまあ/??ってまあ」などの接続詞においては「って 」が用いられにくい。また,前文が長くなればなるほど,「って」よりも「と」が使用されやすいことを示した。
引用助詞「と/って」の振る舞いが異なるのはなぜか,という問いに対して,「と」が,「まとめあげ」る機能を有することがその理由であると考えた論考を学術雑誌『日本語文法』に掲載した。研究方法として,「と」と「まとめあげ」の表現の親和性の高さを,実例を挙げて示した。それに加えて,日本語母語話者に対してすでにアンケート調査を行っており,以下のような長い文章を受ける引用助詞としては「と」が「って」より選ばれやすいことがわかっている。
(1)2ゲーム目まさかのローマン覚醒!!!ぐは・・・スコア百五十二対百八十九で僕の敗北。(中略)こんな神がかりなスコアがwまってろ!ローマン!!オマエなどふるぼっこだ!!!(と,)/(って)BLUE・ニコの日記でした。(Yahoo!ブログ/2008)

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

2022年度は,コーパス資料、および、筆者が独自に収集した資料の用例を用いて,近世・近代~現代における引用形式・引用形式に由来する接続表現の分析を行い、成果を発表・出版することが出来た。
新型コロナウイルスの影響が続き、特に年度前半は研究調査のための出張が難しかった。しかしながら、オンラインでのビデオ通話システムを用いた音声データ収集などに一部研究手法を切り替え、十分なデータを用いて研究を進める事ができた。

今後の研究の推進方策

最終年度は、コーパス資料、および、筆者が独自に収集した資料を用いた研究発表・論文発表を引きつづき行っていく予定である。

次年度使用額が生じた理由

新型コロナウィルスの影響により、年度前半の調査・出張が難しかった。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2023 2022

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (3件)

  • [雑誌論文] まとめあげを行う文頭の卜 -引用由来の接続表現として-2023

    • 著者名/発表者名
      髙谷由貴
    • 雑誌名

      日本語文法

      巻: 23巻1号 ページ: 88-103

    • 査読あり
  • [学会発表] トキタラ文における評価的意味の歴史 ― 近世・近代における「 ト +来る 」表現 を中心に―2023

    • 著者名/発表者名
      髙谷由貴
    • 学会等名
      日本比較文化学会
  • [学会発表] 「引用」のトテはいつから「とりたて」になったか -体言相当句を受けるトテモとの関連から-2022

    • 著者名/発表者名
      髙谷由貴
    • 学会等名
      日本語学会
  • [学会発表] 引用形式と「まとめあげ」についてー「行ーこうっと」は言えて「行ーこうって」と言えないのはなぜか?ー2022

    • 著者名/発表者名
      髙谷由貴, 堤良一
    • 学会等名
      日本語音声コミュニケーション学会

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公開日: 2023-12-25  

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