本研究は、「so照応」(英語の例:Mary kissed Bill, and Nancy did so too)(日本語の例:メアリーがビルにキスしたら、ナンシーもそうした)に焦点を当て、「なぜ照応現象は音声的に不完全にも関わらず、母語話者は一様の解釈可能性及び統語的特性を示すのか」という問題に取り組んだ。具体的には、so照応が示す抜き出しの可能性に関するパターンを比較統語論の見地から言語横断的に記述検討することを目指し、現在の生成文法理論の枠組みにおいて当該のパターンを説明する理論を構築し、理論言語学の中心的課題の一つである「ヒトの言語知識の解明」に貢献することを目指した。
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