研究実績の概要 |
本研究課題は、情報導入構文を聞き手・読み手に対して新情報の導入や情報の話題化を行う機能を持つ構文として位置づけ、英語史上における同構文を通時的語用論の観点から機能―形式のマッピング構築を行うことを目標としている。 その初年度にあたる2020年度では研究計画の第一段階として、まず形式―機能の対応付け(意義論)の観点を掘り下げることを目標とした。その上で、古英語から現代英語に至るまでの情報導入構文として考えられる様々な形式と機能について考察した。時代別に述べると、古英語期における特定の副詞群(叙述演算子) + VP + NP構文(Los 2009, 2012; Cichosz 2017)、<th>a+ VP + NP構文(Cichosz 2017, 2018)、gelamp構文(Brinton 1996)、中英語期におけるTher + BE + NP構文, bifel構文(Brinton 1996)、近代英語期におけるThere + BE + NP構文, There’s + NP + VP + C構文(Yaguchi 2010)、近代英語期から現代英語期におけるThere + BE + NP構文,as for構文(Hilpert 2014), it-cleft構文(Lambrecht 2001), wh-cleft構文(Lambrecht 2001) を対象として情報導入構文の形式はどのような変化を遂げてきたのかについて予備的な調査を行った。記述のフレームワークとして構文化アプローチを用いて言語使用を分析を試みた。全体として、初年度の研究計画として予定していた研究目的を達成するための基礎的な文献調査と資料収集を実施した。今年度に実施した内容は本研究課題の目的である機能―形式の対応付け(名称論)を行うにあたっての前段階として位置づけられる。
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