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2023 年度 実施状況報告書

英語の移動表現における経路概念の機能的分析

研究課題

研究課題/領域番号 20K13069
研究機関桃山学院大学

研究代表者

森下 裕三  桃山学院大学, 国際教養学部, 准教授 (30734305)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2025-03-31
キーワード英語 / 移動表現 / 直示性 / 大規模言語モデル
研究実績の概要

2023年度は、2020年代以降に理論言語学の分野でも応用の可能性が示唆されてきた大規模言語モデルを利用した探索的な研究が一定の成果をあげた。本研究では、BERT と呼ばれる大規模言語モデルの注意機構 (attention) の振る舞いに着目し、直示的移動動詞である come や go といった動詞が、どのような要素と共起しやすいのかという点について興味深い発見があった。
1点目は、直示的移動動詞である come や go は、walk などの様態を語彙化した移動動詞よりも here や there といった直示性をともなう経路表現と共起しやすい可能性を示唆するものである。直示性を語彙化した動詞が、直示性をともなう経路表現と共起しやすいという点は理論的にも妥当だが、先行研究で十分に議論されてきたわけではない。そのため、今後、Corpus of Contemporary American English (COCA) や British National Corpus (BNC) に生起する多くの実例を統計的に分析することによって検証を進めたい。
2点目は、直示的移動動詞である come や go は、その他の移動動詞と比べて、否定文や疑問文でより多く使われるという可能性を示唆するものである。先行研究では、実際に移動をあらわす表現についての議論が中心で、疑問文や否定文についてはほとんど議論されてこなかった。こちらの点についても、さらに多くの実例を統計的に分析することで研究をさらに進めることができる。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

大規模言語モデルを利用した探索的な研究がある程度の成果をあげたため、英語の直示的移動動詞の性質を解き明かすために重要な点について進展が見られた。また、探索的な研究によって得られた成果は、今後、別のデータによって検証をすることも可能で、さらなる研究成果も見込まれる。ただし、大規模言語モデルによって示唆された結果は、別のデータによっても指示される必要があると考えられる。また、今年度の研究は本格的な実証研究に入る前のパイロットスタディとして位置付けられるものである。そのため、次年度では、大規模言語モデルによって示唆された結果を別のデータによって実証する必要がある。
また、今年度の研究成果によって得られた知見は、直示的移動動詞以外の動詞についても応用可能であるため、その点でも今後の研究に繋げられる可能性があると考えられる。

今後の研究の推進方策

直示的移動動詞である come や go が、様態を語彙化した walk や stride といった動詞とは違って here や there といった直示性をともなう経路表現と共起しやすいという点、および否定文や疑問文における直示的移動動詞の生起状況についても他の移動動詞と統計的に妥当な方法によって比較する必要がある。これらのデータは、今後、Corpus of Contemporary American English および British National Corpus によって検証を進めることを予定しており、既にデータの収集および分析に着手している。
以上のような方法で明らかにした点については、2024年度中に国内学会あるいは国際学会で発表し、論文として成果が発表できるよう準備を進めている。

次年度使用額が生じた理由

予定していた国際学会での発表ができず、それにともなう研究成果の論文化および校正のための費用などが支出できなかったために次年度使用額が生じた。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2024

すべて 雑誌論文 (1件)

  • [雑誌論文] 大規模言語モデルを利用した英語の移動動詞選択要因の探索的研究2024

    • 著者名/発表者名
      森下 裕三
    • 雑誌名

      統計数理研究所共同研究リポート

      巻: 469 ページ: 27~40

    • DOI

      10.24546/0100487704

URL: 

公開日: 2024-12-25  

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