本研究の目的は、実践力を身につけた日本語教育人材育成を目標とした、日本語学習者とのタンデム学習を取り入れた教員養成プログラムを構築することである。 具体的には、(1) 日本語教育人材に求められる資質・技能の習得モデルの構築、(2)(1)の資質・技能習得のためのタンデム学習のデザイン構築、(3)タンデム学習の実践・効果測定・デザインの再構築を行う。 2020年度に、日本語教育人材に求められる資質・技能の習得に関する実態把握のため、オンラインでの日本語教育実習をデザインし実践した。 2021年度には、2020年度の実践における実習生の振り返りレポートの分析を行った。その結果、(1)授業・教材作りに関する技術、(2)状況・相手に応じたやり取りの技術、(3)学習者の視点・背景の理解、(4)言語教育者としての態度、(5)精神面のセルフコントロールに関する学びや気づきが観察された。実践における問題点を改善した上で、教育実習を組み立て直し、再度実践を行い、収集した教壇実習のビデオの文字起こし・リフレクション・アンケート調査のデータ分析を行い、タンデム学習で重点的に養成する資質・技能について検討を行った。 2022年度については、タンデム学習のデザインの構築および実践、効果測定を行った。日本語教育副専攻の日本人学生が、タンデム学習を経験することで、日本語授業における教授行動にどのような変化が生じるのかについて、4週間のタンデム学習前と後の日本語授業の分析を行い、検討した。その結果、両者の「教授」が有機的に結びついた場合に、間接的行動(「賞賛,勇気づけ」「質問」)が増え、教授行動に変化が生じることが示された。 2023年度には、学会発表を2回行い、本研究の成果を発表すると共に、専門家と意見交換を行い、分析方法等の再検討を行った。発表内容に新たなデータを加え、加筆修正を行い、論文として発表した。
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