研究課題/領域番号 |
20K13082
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研究機関 | 明海大学 |
研究代表者 |
田川 麻央 明海大学, 外国語学部, 講師 (50735363)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 日本語学習者 / 複数の文章 / 読む素材 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、複数の文章を読む際に学習者はどのような読解技術を使っているのか、うまく読めない場合は何が難しいのかという日本語学習者における複数の文章の読解過程を解明することである。 令和二年度は複数の文章を読む場合の読解技術と困難点を明らかにする前提として、実際に学習者がどのような素材を読むときに複数の文章を読み比べているのか検討した。対象は第二言語環境(JSL)と外国語環境(JFL)の日本語学習者で日本語レベルは日本語能力試験N2、N1レベルである。方法はアンケートとインタビュー調査である。普段の生活において複数の文章を読む機会があるかどうか質問した結果、学習環境に関わらず複数文章を読む機会があることが確認された。また、JFLよりJSLのほうが読む機会が多かったものとして生活に関わる素材が挙げられる。学習環境に関わらず、日本語学習者は学習、娯楽、情報収集に関わる素材も読んでいることが示された。普段、複数の文章を読むことに対して感じる難しさとして、「(テキスト間の)相違点を見つけること」「相違点に対してどちらを信じればいいか判断すること」「それぞれの視点が何かを考えること」などが挙げられた。この調査より、日本語学習者は日本語で複数の文章を読むことに対して困難を感じながらも能動的に読もうとしていることが明らかとなった。 以上、令和二年度は日本語学習者が実生活で複数の文章を読むときの素材、読むことへの困難さについてまとめた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
令和二年度の計画は、複数の文章を読む場合の読解技術と困難点を明らかにするために、実際に読まなければならない文章がどのようなものかを探すことであった。アンケート調査とインタビュー調査を組み合わせて実施した。
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今後の研究の推進方策 |
令和三年度以降は、実際に複数の文章を読む過程に焦点を移し、日本語学習者はどのような点が難しいのか、どのような読解技術を使って読んでいるかなど個別の事例を挙げながら詳細に分析を進めていく。その際、実際の指導に役に立つように、日本語習熟度も考慮して分析を進めたいと考えている。コロナ禍が続いているので、対面での調査を行う際は十分に対策を行い、協力者に負担がかからないよう丁寧に進めていく。
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