研究課題/領域番号 |
20K13086
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研究機関 | 国際基督教大学 |
研究代表者 |
吉田 睦 国際基督教大学, 教養学部, 特任講師 (30835525)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 情報共有 / 話者関係 / 共有経験 / 遠隔 / 談話 / オンライン / コミュニケーション |
研究実績の概要 |
本年度は、昨年度に引き続きコロナ禍による調査実施の制限があったことから、初対面・既知の間柄の対面会話に関する既存資料をもとに、話者の情報差とその共有について分析を行った。その結果、一定の長さの会話の中で話者同士が情報を共有するプロセスにおいて、初対面の間柄であっても、互いに持つ前提知識や類似した経験をもとに情報交換が行われた事例を観察した。 また大学教育においては、社会的な状況からオンラインでのコミュニケーションが前提とされる学習環境が続き、話者関係の構築の難しさや、遠隔場面から対面場面へのコミュニケーションの再移行に関わる課題が見られていた。そのため本年度は、遠隔会話における話者関係構築を想定したやりとりにも焦点を当て、オンライン履修経験のある日本語話者を対象とした、縦断的な調査の実施を開始した。調査は、所属機関における研究倫理委員会の承認を経て、約80名の日本語母語話者協力者のもと実施している。 本調査では、同一大学での遠隔コミュニケーションを共有経験としている協力者に対し、初対面から既知の間柄に至るまでの情報共有の過程を、縦断的に複数回記録することを目的としている。当初の研究課題であった情報差に関わるプロセスだけではなく、初対面からの縦断的な話者関係の構築、多人数での遠隔談話など、多角的な切り口を持って実施を進めている。調査資料は、音声・映像資料として記録し、引き続き分析していく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の第一段階であった、初対面の対面会話、共有情報を持つ既知の話者同士の対面会話の収集・比較に関しては、既存資料の観察を進めることで、話者の情報差に関わる現象を分析した。調査の次段階である遠隔会話調査は、所属機関における研究倫理委員会の承認を経て、コロナ禍での実施形態に配慮しながら開始している。
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今後の研究の推進方策 |
現在実施している縦断的な遠隔会話調査を、引き続き遂行する。調査結果より母語話者同士の遠隔会話の言語的特徴を得た後は、社会的な状況を判断しながら、海外在住日本語学習者との遠隔調査の可能性を検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
年度をまたいで調査を実施し、謝金や文字化委託費用、物品購入等の支出・清算が翌年度に回ったため。
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