研究課題/領域番号 |
20K13097
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研究機関 | 熊本学園大学 |
研究代表者 |
塩入 すみ 熊本学園大学, 外国語学部, 教授 (60411039)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 技能実習生 / SNS / 言語サポート |
研究実績の概要 |
今回の試みの目的は、(1)熊本県内の外国人労働者散在地域において技能実習生に対する言語サポート、及び日本人との交流体制を構築すること、そして、(2)地方におけるトランスナショナルな状況を日本人大学生に対して可視化し、彼らが異文化交流を通じて異文化コミュニケーションのスキルを身に付け、地域文化を見直す経験を促進することである。 昨年より続くコロナ禍により熊本県内でも人の往来が抑制され、ほとんどの実習生も勤務先から行動を制限されているなかで、SNSによる実習生と日本人との交流体制は、休日の少ない、遠隔地に住む実習生にとっても利用しやすい手段であるため、まずSNSによるサポート体制を作った。プログラム開始前に、何名かの実習生に直接面談し、可能な体制について下調べを行った、その結果を踏まえ、まず2020年7月より熊本県内のベトナム人、中国人、フィリピン人の技能実習生に対し、日本人大学生によるパートナー制度について説明とSNSでの募集、試行を開始した。 2020年8月ごろより10組(ベトナム人3名、フィリピン人7名)がSNSでの交流を開始した。2021年5月現在、多くの交流はまだ1年足らずであるが、ここまでの段階で10組のペアの活動状況から、肯定的な効果と考えられる例について、いくつかの諸条件(日本人大学生・実習生双方の異文化コミュニケーションスキルや語学能力)が徐々に明らかになっている。2021年5月からは、10組のうち比較的双方の異文化コミュニケーション能力の高いペアによりSNSのビデオ通話機能を用い、社会・文化的なトピックについての会話プログラムを試みており、適切なトピックやビデオ通話による言語サポートの方法などを明らかにする予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本プログラムは外国人労働者散在地域における実習生のサポートを目指すもので、コロナ禍は直接の交流機会には影響しているものの、当初よりSNSを中心にした交流体制を構築することを計画していたため、むしろSNSでの交流が積極的に促進されることとなった。
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今後の研究の推進方策 |
現行のサポートシステムの具体的な成功要因を通じ、本格的なシステム構築のノウハウを確立するとともに問題点を洗い出し、解決策を提示する。また、ペアをいくつか組み合わせ、グループとして活動したり、雇用主のリクエストにも対応するなど、システムの柔軟な応用を模索したいと考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初予定していた調査及び学会発表のための旅費がコロナ禍の影響でほとんど使用できなかったため、調査対象者や調査範囲(移民政策の調査)を当初の予定より増やして実施する予定である。
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