研究課題/領域番号 |
20K13101
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研究機関 | 弘前大学 |
研究代表者 |
横内 裕一郎 弘前大学, 教育推進機構, 助教 (40782800)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | スピーキング評価 / 言語テスティング / 発話内容 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、「英語スピーキング活動としての要約課題における具体的な内容評価基準の設定」である。具体的な評価基準を設定するために、学習者の発話データを収集する必要があり、2020年度は、(1) 日本語を読んだり聞いたりして日本語で内容を要約する課題、(2) 英語を読んで日本語で内容を要約する課題 、(3) 日本語を読んで英語で内容を要約する課題、(4) 英語を読んで英語で内容を要約する課題、の4つの課題を実施し、データ収集を行う予定であった。しかし、Covid-19の感染拡大により、主なデータ収集の機会である授業の形態が遠隔授業になるなどしたことから、計画通りにデータ収集ができなかった。2020年度は (4) の「英語を読んで英語で内容を要約する課題」のデータのみ収集することができたため、2020年度の研究成果は (4) に関連する調査内容を発表するにとどまっており、当初予定していた研究計画から大きく予定が遅れている。 データ収集に遅れが生じていることを受けて、2020年度は横内 (2016) および Yokouchi (2018) で収集した発話データの再検討を行い、要約課題における発話内容の分析を進めた。この再検討の結果を受けて、本研究課題に関連した評価基準の形式やタスクの特性について発表しており、できる範囲での最低限の成果は出せているが、進捗状況は芳しいとは言えない。本研究課題に強く関連する論文・研究発表としては、発話データ提供者のスピーキング能力・リーディング能力・リスニング能力・語彙知識を推定した調査報告と、スピーキング評価における発話内容の評価が重要であることを証明した発表、統合型スピーキングテストにおける発話内容の評価方針を示した発表などがある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
本研究で集める発話データは、全て本研究代表者が担当する授業内にデータを収集する予定であった。しかし、2020年度はCovid-19の影響により、授業が遠隔授業で行われた期間があったため、研究計画段階では2020年度には4種類のタスクを使ってデータを収集する予定だったが、1つのタスクを実施するのが限界だった。したがって研究計画に大きなずれが生じている。 本研究では、実験協力者に発話をさせることが必要であるため、新型コロナウイルス感染症拡大防止の観点から、安全にデータ収集を行うことができるよう、最新の注意を払い、データ収集の可否を判断している。そのため、授業内でのデータ収集を見送った場合もあり、上記のような状況になっている。また、当初予定していた個別のデータ収集に関しては、防音室で実験を行うことを想定していたものの、防音室内は換気が悪いことから、当面の間個別のデータ収集のは困難であると判断した。したがって、現在研究計画全体の見直しを行っている。Covid-19の状況を注視しつつ、所属先の研究担当部署の指示に従い、研究計画どおりに実施できる調査から調査を進めることし、それ以外の実施が難しい調査・実験に関しては、来年度以降に実施を延期するか、研究計画から削除するかを検討する。
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今後の研究の推進方策 |
1年目の進捗状況が当初の予定から大幅に遅れており、特にデータの収集については1年目の予定の25%程度しか進んでいない。感染拡大防止を徹底し、できる範囲で1年目に予定していたデータ収集を今年度以内に進めたい。また、それに並行して昨年度収集できたデータに関してはできる限り早く分析を完了させ、たたき台となる評価基準を今年度中に設定したい。
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次年度使用額が生じた理由 |
2020年度の実験計画が大きく変わり、当初予定していた視線分析による研究は新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から実施が困難であると判断したため、物品・消耗品については使用用途を大きく変えざるを得なかった。また、関連するすべての学会がオンライン学会として開催、あるいは中止・延期となったので、旅費の予算は一切使用しなかった。一方、その他として英文校正等の費用は予定通り使用した一方、研究内容を一部見直し、自宅等でできる形のスピーキングテスト(Versant English Test)を購入したため、予定額と大きな差が生じた。 翌年度分以降に繰越となった予算は、主に図書を中心とする物品やデータ整理や分析に協力いただく方への謝金として使用する予定である。
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