研究課題/領域番号 |
20K13101
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研究機関 | 弘前大学 |
研究代表者 |
横内 裕一郎 弘前大学, 教育推進機構, 助教 (40782800)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | スピーキング評価 / 言語テスティング / 発話分析 / ルーブリック |
研究実績の概要 |
2020年度は新型コロナウイルス感染症拡大の影響で研究の根幹となる学生の発話データ収集すらままならず、本研究課題を進めることができなかった。2021年度もその影響が残ったが、研究協力者の発話データを対面・遠隔の形式で収集することができた。具体的には、4つのタスク×90名のデータが揃っており(ただし、音声品質が悪いデータが含まれている場合、除外されるデータセットがある可能性がある)、採点者数が4名以上であれば統計上問題ないレベルで分析可能であるといえる。今後、収集したデータを整理し、ノイズ除去等の分析の準備が完了次第、採点者の確保を進め、実際の採点作業に入る。その後、パイロット版のルーブリック作成へと移る予定である。ルーブリック作成の際には、基本的にはTurner and Upshur (1996)のEBB(empirically derived, binary-choice, boundary-definition)scaleの作成手法に則ってルーブリックを作成するが、第1段階としては全体的評価でパフォーマンスの分類を行い、その後内容面で評価者がそれぞれのパフォーマンスをどのように評価していたかを観察する。 この他、実際に分析に使用する予定の4つのタスク以外にも8種の別タスクの録音データを収集できているため、必要に応じてそれらのデータを分析に応用することも可能であると考えている。研究課題のタイトルどおり、「発話内容」をどのように評価すべきか、評価への聞き取り調査も行いながら慎重に調査を進めたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
2020年度に新型コロナウイルス感染症蔓延の影響で発話データの収集ができなかったことにより、研究の計画がまる1年遅れている。2021年度に行ったデータ収集の際に、遠隔環境でも十分な質のデータ収集が可能であることがわかったため、今後は授業時にデータを収集することにこだわらず、実験参加者(発話データ提供の学生及び採点者)に自宅等から研究に参加してもらうことも念頭に置いて研究を進めたい。
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今後の研究の推進方策 |
本研究課題の今後の計画だが、当初の計画から1年遅れでそのままデータの収集・採点等を2022年度中に完了させ、採点データの分析を始める予定である。また、パイロット版のルーブリックを完成させる予定である。可能であれば、年度内にこれまでに収集した旧データを使用して採点及び分析を進めたい。 また、当初分析に使用することを想定していた手法(多相ラッシュモデルや一般化可能性理論)のみではなく、新たな手法、特にディープラーニングを用いた手法を運用して採点データを分析できないか検討したい。
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次年度使用額が生じた理由 |
2020年度にデータ収集を行えなかった影響が大きく、研究を発表できるところまで進めることができなかったため、出版・発表ができなかったことで予算の執行が予定通りとならなかった。また、参加した研究大会のすべてが遠隔開催となったため、特に旅費の部分で差額が大きくなり、2年連続で旅費としての出費が無かった。一方、データ整理等で謝金が発生しているため、「その他」の部分では予算を執行できている。 今後の使用計画としては、2022年度はディープラーニングが可能なワークステーションを購入し、デモデータを使いながら実際の分析に使用する手法を決定したいと考えている。また、2022年度の予算の多くは採点協力者への謝金として使用することを想定している。
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