研究課題/領域番号 |
20K13105
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
矢元 貴美 大阪大学, 言語文化研究科(言語社会専攻、日本語・日本文化専攻), 助教 (40830089)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 母語・継承語 / 子ども / 教育 |
研究実績の概要 |
文献資料とインターネット上の資料に基づき、日本におけるフィリピン語の母語・継承語教育の実践と研究に関する現状を把握した。日本における母語・継承語教育は、その言語を母語・継承語とする子どもが多い中国語、韓国・朝鮮語、ポルトガル語、ベトナム語等の実践や研究が蓄積されてきた一方、フィリピン語の母語・継承語教育は一部で実施されているに留まり、研究の歴史も浅い。 並行して、出版されている、または、インターネット上で利用可能な日本語話者向けフィリピン語教材やフィリピンに関する動画資料、および、英語話者向けフィリピン語教材や動画資料を調査した。日本語話者向けのものは成人を主な対象としており、子どもや保護者、子どもに教える教授者が利用するには向かないこと、英語話者向けのものには子どもを対象としたのものが多数あるものの、英語が堪能でない子どもには理解が難しいことがわかった。日本で暮らす子ども向けに、子どもの発達段階や第一言語を考慮し、保護者や教授者にも配慮した教材作成が必要であるという課題が明らかとなった。 研究成果に関する発表を予定していた国際学会がコロナウイルス感染症拡大のため中止となったことから、2020年度の研究成果については2021年度に学会発表を実施する方向で準備を進めている。 また、2020年度に予定していた日本国内におけるインタビュー調査と参与観察は、新型コロナウイルス感染症拡大のために実施が困難となったことから、2021年度に実施することとした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
2020年度に予定していた日本国内におけるインタビュー調査と参与観察については、新型コロナウイルス感染症拡大のため、中止を余儀なくされた。調査や参与観察への協力者は学校関係者や教育に関わる団体関係者が多く、休校や感染予防対策のため多忙であること、調査に伺うことによる感染の懸念もあることから、困難であると判断した。緊急事態宣言発令により他府県への移動を自粛する必要も生じたため、次年度に実施することとした。
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今後の研究の推進方策 |
2021年度には、日本国内におけるインタビュー調査と参与観察を実施する予定である。2020年度に実施予定であったもの、および、2021年度に実施予定としているものについて、学校関係者、団体関係者、子どもや保護者の協力を得て進め、母語・継承語教育の意義と課題、子どもや保護者のニーズを把握する。フィリピンにおける調査と資料収集については、新型コロナウイルス感染症の状況が改善し、現地との往来が可能になった時点で実施する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
2020年度に予定していた日本国内における調査が、新型コロナウイルス感染症拡大のために中止を余儀なくされた。また、参加予定であった学会が中止、またはオンライン開催となった。そのため、予定していた旅費、協力者に対する謝礼、調査データを整理するための人件費などが未執行となった。2021年度に実施予定の調査および研究成果発表のための経費に使用する予定である。
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