研究課題/領域番号 |
20K13110
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研究機関 | 学習院大学 |
研究代表者 |
中竹 真依子 学習院大学, 付置研究所, 准教授 (30736038)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | ライティング・センター / 書き手の成長 / 自律的な書き手 / 対話 / 効果検証 / 長期的な効果 / 縦断的調査 / 第二言語ライティング |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、ライティング・センターを継続的に利用する英語学習者が産出する文章と英語ライティンクに対する意識・態度がどのように変化するのか、という観点からライティング・センターにおける英語ライティング支援の教育効果を検証することである。 2年目である令和3年度は、昨年度に引き続き、年に2回、前期授業終了時と後期授業終了時にアンケートおよび半構造化インタビュー調査を実施しデータ収集を行った。また、本年度は、学習者が産出する文章の変化に焦点を当て、本格的なデータ分析にとりかかった。本年度は中間報告として、初年度に収集したデータを用いて、1年間にわたってライティング・センターを継続的に利用した英語学習者3名のライティング・プロダクトがどのように変化したかを「流暢さ(fluency)」「統語的複雑さ(syntactic complexity)」「語彙の多様性(lexical diversity)」の3つの観点から分析した。分析の結果、学習者によってライティング・プロダクトの変化はさまざまであることが明らかとなった。こうした変化の違いには、ライティングタスクの複雑さや難しさ、ライティングトピックの複雑さといった要因が影響していることが示唆された。今回は、流暢さ、統語的複雑さ、語彙の多様性の観点から3つの指標を用いての分析にとどまったが、今後は、より多様なライティング力発達指標を用いた分析を行い、多角的な視点から学習者が産出する文章の変化を捉える必要がある。また、次年度は2年間にわたって収集した全データを分析対象に含め、より包括的で詳細な変化の様子を明らかにしていきたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画通り、昨年度に引き続き、年に2回学期末にアンケート調査およびインタビュー調査を実施し、データを収集することができた。また、学習者の産出した文章データ(学習者が利用時にライティング・センターに持参した文章データおよび利用後に修正した文章データ)も昨年度より継続して収集することができた。昨年度からの研究協力者4名のうち3名のライティング・センターの利用が本年度は途絶えてしまい、昨年度より継続してライティング・センターを利用している(ライティング・センターの継続的利用が2年目を迎える)調査協力者が1名のみとなってしまったが、本年度は新たに3名の研究協力者を得ることができた。分析も概ね順調に進んでおり、本年度は特に学習者の産出した文章の変化についての分析を進めることができ、その結果を論文として発表することができた。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度である令和4年度は、引き続きデータ収集を行いながら、2年間での学習者が産出する文章の変化、英語ライティングに対する意識・態度の変化について、量的・質的双方の観点から詳細な分析を行う。そして、学習者が産出する文章の分析結果とインタビューおよびアンケート調査で得られたデータの分析結果を有機的に融合することで、ライティング・センターにおける英語ライティング支援の効果を包括的に検証することを目指す。最終成果は、国内外の学会及び学術誌上で発表する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
世界中での新型コロナウィルス感染症拡大の影響により、令和3年度に参加を予定していた国内外の学会が延期またはオンライン開催となり、昨年度に引き続き旅費の支出がなくなったため次年度使用額が生じた。未使用額については、インタビューの書き起こし、より詳細なデータ分析のための諸経費、最終成果報告のための費用などに充てることとしたい。
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