最終年度である令和5年度は、これまでの成果をまとめた論文の出版だけでなく、本研究の最大目標である、相互行為内での自発的ジェスチャーが果たす役割についての口頭発表を行った。詳しくは以下の通りである。 1. 学習者の習熟度と自発的ジェスチャー使用の関連について 1対1の対話実験17組を基に、英語学習者が発話と共に使用するジェスチャーを定量・定性的観点から分析を行った。その結果、学習者の英語習熟度によってジェスチャー使用に違いがあるだけでなく、ジェスチャーの種類およびそれらのジェスチャーの機能・役割にも違いがあることが確認された(国際雑誌 Anglica Wratislaviensia 61巻に掲載)。 2. 時空間表現時における自発的ジェスチャー使用について 1対1の対話実験11組を定性的に分析した結果、参加者の多くは時空間表現時において自発的ジェスチャーを発話と共に使用する傾向が見られた。加えて、それらのジェスチャーは発話内容を補足するためではなく、時制軸を音声発話と共に視覚的にも表す傾向があることが確認された(国際雑誌 Linguistics Beyond and Within 9巻に掲載)。 3. 加えて、本研究最終年度であるため、本研究で明らかにした研究成果を、英語非母語者間のインタラクションにおける相互行為能力の促進効果の可能性、をテーマに(タイトル:Unveiling the communicative power of spontaneous gestures in conversational interactions)国際大会にて研究発表を行った(2nd International Conference on Discourse Pragmaticsにて発表)。
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