研究実績の概要 |
初年度は、予定通り、EMIプログラムで学位が取れる学部のウェブページ調査を行った。本調査の目的は、Pauwels (2012)の分析方法を参考にし、「成果」や「卒論」に関する記述に注目し、内容分析を行い、EMIプログラムに存在するlanguage ideologyを把握することであった。文部科学省(2019)が報告する大学の内、ウェブページ上で学位が取れる学部であることが確認できた47学部のウェブページを調査した。 本調査の結果、大学が提示する成果を三つ(Competence, Awareness, Certificate)に区分した。また、三つの区分に共通する特徴としてForeign language, Diversity, Global Citizen/Global human resource, World Societyが挙げられた。これらの特徴は、2002年に発表された「英語が使える日本人」の育成のための戦略構想で述べられた「仕事で英語が使える人材」の育成との関連性がうかがえ、新自由主義およびグローバル化において必要な競争力を備えるための英語教育というideologyが散見された。 一方、卒論に関しては、八割以上(n=42, 89.3%)の学部が卒論を課していた。またゼミでは教員と学生の関係性を述べる記述が多く、ゼミの参与観察において注目すべきポイントを示唆した。 本調査の結果は、EMIプログラムを評価するモデルを確立するための敷石となりうる。なぜなら、モデルを構築するにあたり、EMIプログラムの成果(学生がプログラムでの学習を通して何を成し遂げているか)を把握する必要性があるからである。ウェブページでは大学側から見た成果からlanguage ideologyを把握したが、今後の学生への調査で、このideologyがどのように学生の卒論への取り組みに関わっているかを明らかにすることへつなげられる。EMIプログラムの成果を把握することで、疑問視されているプログラムの質等を改善する手がかりとなり、プログラムの発展に貢献しうる。
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