研究課題/領域番号 |
20K13129
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研究機関 | 茨城大学 |
研究代表者 |
瀬尾 匡輝 茨城大学, 全学教育機構, 准教授 (20761026)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 言語教育の商品化 / 新自由主義 / 格差の是正 / 商品化 / 格差 / 言語教育 / 公平性 |
研究実績の概要 |
2022年度は、2021年度に149名のベトナム北部の地方都市の大学に通う英語・中国語・韓国語・日本語の学習者を対象に行ったアンケート調査の分析を進め、その結果を日本語教育学会の2022年度秋季大会で発表した。分析の結果、以下の7点が明らかになった。(1)言語の学習経験の有無に関わらず、英語と日本語は「仕事のための言語」とイメージされていた、(2)言語の学習経験の有無に関わらず、韓国語は「趣味のための言語」とイメージされていた、(3)中国語と韓国語は学習経験のない者からは「趣味のための言語」とイメージされていたが、学習経験のある者からは「仕事のための言語」とイメージされていた、(4)英語の言語能力が低い者は英語を「仕事のための言語」とイメージする一方で、中国語の言語能力が低い者は中国語を「趣味のための言語」とイメージしていた、(5)英語の学習経験がある者は言語能力が高まると英語を「趣味のための言語」とイメージし始める一方で、中国語の学習経験がある者は言語能力が高まると中国語を「仕事のための言語」とイメージするようになっていた、(6)日本語の学習経験がある者は言語能力に関わらず日本語を「仕事のための言語」と「趣味のための言語」とイメージしていた、(7)韓国語の学習経験がある者は言語能力に関わらず韓国語を「趣味のための言語」とイメージしていたが、言語能力が高まると「仕事のための言語」とイメージするようになっていた。 2022年度は2023年2月~3月にベトナムに1か月間滞在し、本研究の対象である英語・中国語・韓国語・日本語を学ぶ学習者、そしてそれらの言語を教える教師、他国籍企業で働くベトナム人社員及び人事担当者に対してインタビュー調査を実施することができた。また、滞在中に544名からアンケートへの回答を得ることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究では、ベトナムをフィールドに調査を行うが、新型コロナウィルス感染症拡大の影響により、研究開始からの2年間(2020年度~2021年度)は、現地に赴き調査をすることができなかった。2023年2月~3月にベトナムに1か月滞在し、インタビューデータを集めることができたが、現在分析を進めており、当初の予定よりも遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
2022年度に収集したインタビューデータの文字起こしを行い、分析を行うとともに、544名から回答を得ることができたアンケート調査の分析を行い、学習者が各言語に対してどのような価値を見出しているのか量的及び質的な観点から分析していきたい。また、教師、他国籍企業で働くベトナム人社員及び人事担当者への分析を深め、それらの価値に対し、それぞれの言語プログラムが言語学習をどのように商品として売り出しているのかを探り、言語学習が盛んなベトナムの言語学習の商品化の現状を明らかにしたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウィルス感染症拡大のため、研究開始の2年間は調査のためにベトナムに赴くことができなかった。また、学会もオンラインでの開催となり、旅費のための費用が必要がなかった。今年度は、ベトナムへ追加の調査に赴くとともに、対面での開催が主となりつつある本研究と関係する学会で精力的に研究成果を発表していく。
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