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2022 年度 実施状況報告書

文書の作成・活用・保存に着目した前近代朝廷儀礼の復原的研究

研究課題

研究課題/領域番号 20K13176
研究機関山口大学

研究代表者

黒羽 亮太  山口大学, 人文学部, 講師 (90867392)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2024-03-31
キーワード朝廷文書 / 儀礼 / 政務 / 古代 / 中世 / 前近代 / 書誌学
研究実績の概要

本研究は、主に中近世の「朝廷文書」の調査によって得られた知見を、現存史料の少ない古代史(とりわけ平安時代の朝廷における儀礼(政務や祭祀なども含む)の復原)研究に活用することを目指してきた。
本研究を開始するに当たり、世界的な新型コロナウイルス感染症の拡大という局面に際会し、当初は研究の推進に大きな支障を来したが、次第に所期の計画を遂行できるようになった。本年度は、朝廷文書の中でも官方のそれに注目して調査・研究を進めた。
周知のように、平安時代中期以降の朝廷の儀礼・政務の運営は外記や史によって実務が担われたが、このうち弁官局(史)を中心として運営された官方行事に関しては、当然ながら弁官局に多くの文書が残された。中世以降、この官務を担うことになった小槻氏の後裔である壬生家には、中世の官方行事に関する文書が数多く残されている(壬生家文書)。
壬生家文書は現在、いくつかの所蔵機関に分かれて所蔵されているが、本研究では宮内庁書陵部に所蔵される壬生家文書について、現物を熟覧し、史料の記載内容のみならず、折り目や法量などの物質的側面も注意深く観察した。また、これと京都大学が所蔵する同文書の写真帳とを付き合わせることによって、文書の本来の形状を復原することに成功した。
当該史料は一紙ものの文書ではなく、実は冊子体(粘葉装)の文書だったのであり、これまで知られることのなかった、平安貴族社会における粘葉装朝廷文書の活用の一面を、本研究は初めて明らかにしたことになる。この研究成果については、すでに口頭で学会報告を行ったが、現在文書化に向けて、研究の精緻化に努めている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本年度は、朝廷文書の観察に基づき、これまで知られることのなかった儀礼・政務の側面を復原するという研究の進展が見られた。これは研究課題に適う成果と言え、上のように判断した。最終年度はその文書化が目標となろう。

今後の研究の推進方策

研究課題に相応しい成果が得られつつある。最終年度は、この研究をさらに精緻なものにするとともに、その意義づけを深め、文書化により、広く成果を公表することを目標とする。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2022

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (2件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] 法定鋳銭額からみた平安前期の周防鋳銭司2022

    • 著者名/発表者名
      黒羽亮太
    • 雑誌名

      史林

      巻: 105-4 ページ: 1-33

    • 査読あり
  • [学会発表] 山陵制度を論じて長屋王の変に及ぶ2022

    • 著者名/発表者名
      黒羽亮太
    • 学会等名
      日本史研究会古代史部会
  • [学会発表] 平安貴族社会の儀礼・政務と〈メディア〉:仁王会立紙の「発見」2022

    • 著者名/発表者名
      黒羽亮太
    • 学会等名
      日本古文書学会第54回大会
  • [図書] 論点・日本史学2022

    • 著者名/発表者名
      岩城 卓二、上島 享、河西 秀哉、塩出 浩之、谷川 穣、告井 幸男
    • 総ページ数
      388
    • 出版者
      ミネルヴァ書房
    • ISBN
      9784623093496

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公開日: 2023-12-25  

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