前年度に引き続き、東京大学史料編纂所に所蔵される「島津家文書」から、幕府-薩摩藩-琉球の三者関係にかかる史料を複写し、解読を進めた。前年度に公刊した論文「宝永正徳期の幕薩琉関係」(木土博成、『日本史研究』、703号、2021年3月)に収録しきれなかった論点について、とくに琉球使節の行列図の分析などを通し、理解を深めた。また、18世紀初頭の対馬藩の史料を読み込み、幕府-薩摩藩-琉球関係を、幕府-対馬藩-朝鮮関係との比較のなかで捉えるための予備考察を行った。さらに、18世紀初頭の画期を位置づける上での前提として、17世紀中葉(寛永期)の画期について、「島津家文書」から関連史料を収集した。
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