本研究は、明治維新後の東京で議事機構の設置案が浮上したころから、地方議会の開設や地方制度の整備を経て、政党が組織的進出を初めて図るまでの30数年間について、都市議会を中心とした同地の政治空間を分析したものである。政治秩序の根本的な再編を促した身分制解体・議会制導入のインパクト(1870年代~)と、インフラ整備熱を高めてそれまで主流だった租税負担の軽減と異質な経済的要求を政治の場にもたらした産業革命のインパクト(1890年代)を重視した本研究は、これらのインパクトが都市改造に対する議会の姿勢や議会内外の団体・集団をどう方向づけたかを検討し、政党の進出やそれへの反発をめぐる歴史的性格を解明した。
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