本研究は貴族院や貴族院事務局を検討対象に、政党内閣崩壊後の帝国議会の運用や議会制度をめぐる諸議論を分析することで、近代日本の議会政治の意義と限界を明らかにすることを目的としている。 当該期間の貴族院は、衆議院と比較すると、議会改革そのものへは消極的な姿勢を保持し続けた。とりわけ、大政翼賛会結成後や敗戦後といった議会外による大きな圧力にさらされた時期でもそれは変わらなかった。それは、衆議院と異なり「民選」を経ていないことも理由であろう。そうであるがゆえに、貴族院は良くも悪くも時勢の変化に対応することができず、敗戦後、”非民主的”な貴族院像を決定的なものとすることとなった。
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