本研究を通して、米軍統治下沖縄における社会政策の不備を補完する形で、日米両政府及び、キリスト教団体、移民といった軍官民による、多層的な沖縄救済・援助活動のネットワークが構築されてきたことがわかった。それぞれの援助政策・活動運動を分析すると、沖縄復興を掲げながらも、冷戦期の反共政策や、米国内での日系人の帰家権運動、国家主権の回復など、それぞれのアクターが別の思惑や意図をこめており、「沖縄救済」が様々なポリティクスが交差する場になっていたことが明らかになった。また、沖縄をめぐる援助ネットワークは、日米両政府のアジア(特に東南アジア)への開発援助の文脈の中でも理解すべきことが示唆された。
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