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2020 年度 実施状況報告書

都市大坂を拠点とする油・種物の流通構造

研究課題

研究課題/領域番号 20K13191
研究機関地方独立行政法人大阪市博物館機構(大阪市立美術館、大阪市立自然史博物館、大阪市立東洋陶磁美術館、大阪

研究代表者

島崎 未央  地方独立行政法人大阪市博物館機構(大阪市立美術館、大阪市立自然史博物館、大阪市立東洋陶磁美術館、大阪, 大阪歴史博物館, 学芸員 (80756437)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2023-03-31
キーワード油 / 絞油業 / 大坂 / 摂津 / 和泉 / 流通 / 地域社会
研究実績の概要

本研究の目的は、第一に、大坂を拠点として畿内周辺に広がる油・種物の流通構造を、生産・流通の担い手の視座から復元すること、その際に、幕府の統制政策との関係も含めて総合的に描くことである(①)。第二に、これらの分析を踏まえて、従来は明治前期の商業規則の分析に偏っていた移行期研究を見直し、商人の仲間の史料も分析に組み込み、近世から近代に至る経済社会の展開を具体的に跡付けることも課題とする(②)。
初年度にあたる令和2年度は、大坂を主たる出荷先とする摂津国の油の生産と流通について、分析に着手した(①に該当)。具体的には住吉郡西組絞油屋仲間に属する遠里小野村中野家の「油方諸用留」と、大坂で油を集荷する商人である出油屋・米屋又兵衛家の資料を使い、株仲間解散・再興後の大坂を拠点とする油の生産・流通と、幕府の流通統制のあり方を検討した。この作業を通して、江戸からの大量注文が続いたことを契機に、大坂町奉行所から「御用油」が課されたこと、それが絞油屋仲間の御用となり、割りかけられる実質的負担となったこと、そのことを論拠に、絞油屋仲間は様々な結集単位で菜種・綿実の安定的集荷を確保しようとしたことを明らかにした。従来の研究では国訴の言説からのみ検討されてきたことの具体像がみえてきた(口頭発表)。
また、大阪に暮らした人と明かりのかかわりを紹介する「大阪の灯火具」展で、近世から近代にかけての大阪の名鑑や絵画資料を陳列し、明かりにまつわる諸職業や、灯火具の諸相を紹介した。また、大坂の油産業を支えた労働者である働き人の存在形態について紹介する講座を行った。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

新型コロナウイルスの流行により、所在確認を行ったり、一部着手していた史料調査を中止・延期せざるを得ない状況に置かれた。この状況を受けて、まずは翻刻が刊行されている遠里小野村中野家文書の「油方諸用留」や、データベースで公開されている米屋本文書の分析を進めることとした。これに関しては、令和3年6月開催予定の大阪歴史学会大会部会報告に向けて成果をまとめている段階である。
また、出張が制約されたため、予定していた国内外の学会・研究会に参加することはできなかったが、オンラインでの研究会や、館主催の展観、講座で成果を発表する機会を作り、積極的な発信を心がけた。特に「大阪の灯火具」展では、人びとの暮らしと明かりの諸相を紹介するというコンセプトのもと、油の消費の局面や、関連商品の生産・流通に従事する諸業種の存在についても視野を広げることができた。併せてこれまで充分に活用できていなかった資料を紹介する機会にもなった。

今後の研究の推進方策

前年度の成果のうち口頭発表の内容については、大阪歴史学会大会で発表し、その内容を論文としてまとめる。遠里小野村中野家文書については、調査再開の目処がたち次第実施し、資料目録やデータベースを作成する。
第二の研究目的についても、近代大阪において種物や油の流通に従事した商人仲間の資料、近代以降の企業の資料などを用いて分析をすすめ、得られた成果を口頭報告や論文などで発表する。

次年度使用額が生じた理由

初年度は、予定していた史料調査が実施できなかった結果、交通費が不要となった。また、調査データの整理・入力に必要な機器をそろえる物品費については、リモートワークや在宅学習による需要増で機器類の在庫が払底したため、執行することができなかった。後者については、既に購入手続きを進めている。
さらに参加を予定していた中国杭州での学会も開催延期となったため、外国旅費も執行しなかった。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2021

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] 和泉国における堕胎取締りと地域社会2021

    • 著者名/発表者名
      島﨑未央
    • 雑誌名

      鳴門史学

      巻: 34集 ページ: 31-49

    • 査読あり
  • [学会発表] 株仲間再興後の大坂における油の生産と流通構造―摂津国遠里小野村を例に―2021

    • 著者名/発表者名
      島﨑未央
    • 学会等名
      大阪歴史学会近世史部会

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公開日: 2021-12-27  

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