研究課題/領域番号 |
20K13195
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研究機関 | お茶の水女子大学 |
研究代表者 |
阿部 尚史 お茶の水女子大学, 基幹研究院, 助教 (20589626)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | サフィー=アッディーン廟 / イラン / アルダビール / サファヴィー朝 / カージャール朝 |
研究実績の概要 |
本研究は、イラン北西部にあるサフィー=アッディーン廟が、18世紀初頭に支持母体というべきサファヴィー朝が崩壊した後、どのように存続したかを、文書史料や未刊行の写本も用いながら、分析する。とくに、衰退期と考えられがちな、18世紀後半以降に注目し、後援となる王朝権力が不在の中で、以下に存続したかを考えていく。 新型コロナウィルス感染症の影響で、当初予定していたイランでの調査が実施できなかったため、日本で入手可能な史料、二次文献をもとに研究を行った。 まずは、1759年に作成されたサフィー廟の動産目録(刊本あり)および、19世紀のヨーロッパ人の旅行記、ペルシア語年代記史料などを分析し、18世紀の王朝滅亡後に失われた動産を抽出した。サフィー廟動産目録の刊本の読解を進める中で、誤植と思われる箇所や意味の通らない部分が多数発見されたため、イランのアルダビールに所蔵されている原資料を閲覧する必要性を痛感した。 こうした成果を、2020年11月の東洋史研究会年次大会で、「イランにおける旧王家祖廟存続の試み――18,19世のシェイフ・サフィー=アッディーン廟」と題する研究報告を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究プロジェクト開始一年目であるのに、新型コロナウィルス感染症によって海外調査(イラン調査)ができなかったため、当初予定していた現地図書館・文書館における史料調査が実施できなかったため。日本で入手可能な刊行済み史料や二次文献のみを用いて研究を行わざるを得なかったため。
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今後の研究の推進方策 |
新型コロナ感染症が収まり、研究計画で予定していたイランやイギリス、ロシアに渡航し、図書館・史料館にて調査を行い、これまで調査されていなかった史料を利用することで、「衰退期に注目する」というこれまでに類を見ない研究の視点を実現することができると考えている。現地調査ができない状況においては、現在入手可能な史料を集めながら、研究を進めるしかないと考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
予定していた現地調査ができず、現地における史料収集もできなかったため。2021年度に海外調査が実施できる場合、滞在期間を可能な範囲で長く設定し、2020年に実施する予定であった現地(イラン)での調査と2021年に実施する予定の調査の両方を実施する。また現地の資料購入を前年度に予定していた部分も行う予定である。
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