研究課題/領域番号 |
20K13198
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
宮本 亮一 東京大学, 附属図書館, 特任研究員 (00867856)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | フン系集団 / キダラ / アルハン / エフタル / バクトリア語文書 / アラビア語年代期 / トハーリスターン |
研究実績の概要 |
2年目にあたる2021年度は、昨年度に引き続き、諸々の文献資料(バクトリア語などの中央アジアの現地語文献、漢語文献、イスラーム時代のアラビア語年代期や地理書など)に記されている「フン系集団」の動向を調査すると共に、貨幣などの情報の収集にも努めた。 文献資料に関する研究としては、今年度はとりわけバクトリア語世俗文書の分析を集中して行なった。フン系集団が拠点を置いたアフガニスタン北東部(当時はカダグスターンと呼ばれていた)の支配者から出された行政文書(手紙)だけに見られる特定の単語の用例を総合的に分析し、この言葉に関する新しい理解を見いだし、日本語の論文として発表した。この論文は英語版も準備し、次年度以降にアメリカの雑誌に発表される予定である。また、フン系集団が展開した時代のアフガニスタンとその周辺地域に関する一般向けの文章をいくつか執筆し、その一部は今年度に刊行されたが、次年度以降に発表される予定のものもいくつかある。 また、フン系集団が発行した貨幣に関する調査研究も行い、本年度はこのテーマに関する口頭発表を実施した。このテーマに関しては、貨幣を所蔵するヨーロッパの博物館の学芸員と連絡をとり、申請者が新たに発見した貨幣の銘文の読みや、貨幣の発行者に対する理解などについて、積極的に意見を交換した。 なお、依然として継続するコロナウイルスの蔓延により、今年度も海外調査を行うことができなかったが、その代わりに、文献資料の精査や貨幣に関わる情報の整理を重点的に行うことができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
昨年度と同様,諸資料の読解・分析は比較的順調に進んでいる。海外調査を行うことができていないが、フン系集団が発行した貨幣に関する情報収集が大きく進んだ。
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今後の研究の推進方策 |
今後も引き続き、フン系集団に関係する文献資料の読解・調査を継続すると共に、貨幣の情報を収集し、集団が展開した時代の歴史と社会に関する総合的な理解を深化させることに努める。なお、次年度より所属部局にてフン系集団の歴史に関わるワークショップを年に数回実施する予定にしているので、そうした場での他の研究者との議論や情報収集にも努めたい。また、状況が許せば海外調査、あるいは海外での研究発表を行いたいと考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナウイルスの蔓延により、国内外の資料調査が実施できなかったため、次年度使用額が生じた。2022年度は、状況が許せば海外での資料調査、あるいは研究発表を実施したいと考えている。
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