本研究は、1945年に台湾で結成された在台日本軍(台湾軍のちの第10方面軍)、高砂特設警備部隊に焦点をあて、日本軍の先住民動員の実態を解明するものである。 本研究では、特定歴史公文書である『留守名簿』が大きな鍵となる。これまでの調査で『留守名簿』から高砂族が集中的に動員されている部隊を複数見つけており、それらの整理・電子化を進めた。(『留守名簿』は、公開されているが、原本のみでネット閲覧は不可である。まずは、分析のために整理と電子化の必要があった。) これまで、本課題で特設警備部隊第513大隊(新竹)、特設警備部隊第514大隊(台中・台南の一部)、特設警備部隊第517大隊(台東)の整理・分析を終了させた。また、これまでの研究成果を台湾で行われた国際シンポジウムでも報告した。(「日本統治最末期;臺灣原住民高砂特設警備部隊之研究」政大台史所創所20週年第七屆臺灣與東亞近代史青年學者國際學術研討會 ) フィールドワークについては、2023年度はコロナウィルス流行での制限もなくなり、国内外で積極的に調査を行った。(国立公文書館、台湾国家図書館、台湾中央研究院台湾史研究所など) また、他大学の若手研究者らと積極的に研究会を開催し(第1~3回シンポジウム:名古屋アジア散歩 …「閉じていく日本帝国と台湾:「華僑」概念の再検討を通して」代表:岡野翔太 科研と共催)、討論を行った。
|