研究課題/領域番号 |
20K13218
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研究機関 | 神奈川大学 |
研究代表者 |
正木 慶介 神奈川大学, 外国語学部, 准教授 (00757172)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 近代イギリス / ホイッグ / 政党政治 / 政治文化 / 公共圏 |
研究実績の概要 |
令和2年度は、本科研費に関連する研究として、論文1本(査読付き)の投稿(2021年6月に刊行)と、国内の学会・研究会で2件の口頭報告を行った。 ・論文:‘The Posthumous Cult of Charles James Fox: Whig Associations in the 1810s’, Leaves (CLIMAS de l’universite Bordeaux-Montaigne), volume 12 (June, 2021) , forthcoming ・口頭報告:「フランス革命とイギリス政治文化」、神奈川大学人文学会(2020年度例会)、オンライン開催、2021年1月21日 ・口頭報告:「近世イギリスにおける大衆出版と公共圏:18世紀」近世イギリス史研究会(2020年度例会)、オンライン開催、2021年3月28日(*後藤はる美(東洋大学)「近世イギリスにおける大衆出版と公共圏:17世紀」とのジョイント研究報告) 加えて、まだ具体的な成果には結びついていないが、文献・資料の収集と分析に可能な限り時間をあてた。二次文献は全体の半分ほどを読むことができた。一次史料の収集には渡英が不可欠だが、これについてはコロナが落ち着き次第遂行する。 令和2年度の一番の収穫は、上記英語論文を刊行することが決まったことである。本論文では、ロンドンおよび地方都市におけるホイッグ支持者の政治的会合としての機能をもち、また、故人となった党指導者C・J・フォックスをコメモレイトする役割をになった「フォックス晩餐会」(Fox dinners)を詳細に分析した。本論文の内容は、本研究課題の主要な成果の一つとなる、単著の核の議論となる予定である(単著の出版契約は取得済みである)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
令和2年度は、「研究実績の概要」に記したとおり、本研究課題にとって核の一つとなる論文を投稿することができた。一方で、本研究課題とは直接は関わらない複数のプロジェクトを同時並行的に進めたため、予定していたよりも本研究に十分な時間を割くことができなかった。加えて、コロナ禍により渡英がかなわず、British Library等英国における文書館・図書館でのリサーチを行うことができなかった。また、同じ理由により、毎年年初に行ってきたBritish Society for Eighteenth-Century Studiesの年次学会(St Hugh’s College, University of Oxford)での研究報告がかなわなかった(言うまでもなく、こうした国際学会は研究に関わる重要な知見を獲得するための貴重な機会となる)。令和3年度もコロナ禍が続くことが予想される。スケジュールをその都度調整しながら、柔軟に研究を進めていきたい。
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今後の研究の推進方策 |
令和3年度は、上記単著の完成に向けた研究と執筆作業に取り掛かる。単著のテーマは「フォックス崇拝」であり、C・J・フォックスという死去した党指導者の政治的影響力が後継政党にどのように現れたのかを分析する。令和3年度は、1830年代初頭の第一次選挙法改正問題において、地方都市の政治結社や公的集会という場で、「フォックス崇拝」がどのように現れたかを主に研究する。その後、「フォックス崇拝」の別の一側面といえる新聞『Charles James Fox』の分析に取り掛かる。研究過程で、国内外の学会・研究会で口頭報告を行い、論文を執筆する。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍で渡英がかなわなかったため(学会報告と図書館・文書館でのリサーチが目的)。
使用計画に関して、令和3年度は、コロナの状況次第ではあるが、可能な限り渡英し史資料収集と学会報告に利用したい。また、文献の購入費とオンラインデータベースの使用費等にもあてる。
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