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2021 年度 実施状況報告書

戦間期ハンガリーにおける国民統合の実相:旧領からの避難民を事例として

研究課題

研究課題/領域番号 20K13227
研究機関近畿大学

研究代表者

辻河 典子  近畿大学, 文芸学部, 准教授 (50724738)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2023-03-31
キーワードハンガリー / 戦間期 / ナショナリズム / 第一次世界大戦 / 難民
研究実績の概要

本研究の目的は、第一次世界大戦後にハンガリー領内に逃れた避難民が移住先で労働者を中心とする現地住民とどのように関わり合いながらハンガリー社会に統合されていったのかを明らかにすることである。
当初の研究計画では、本年度は史料調査とその分析を集中的に行う予定であった。しかし、現地での史料調査は前年度に引き続いて実施することができず、日本国内からでも確認可能なデジタル化された史資料の調査を引き続き進めた。その成果は、2021年8月の第10回国際中東欧研究協議会(ICCEES)モントリオール大会(オンライン開催)での研究発表に採り入れた。地理認識に関するパネルでの発表ではあったが、第一次世界大戦後の国境変動に伴って自らの「ハンガリー人」としての意識を再定義する過程という点で、本研究課題にとっても役立つ知見が得られた。
また、第一次世界大戦終結やトリアノン条約調印から100周年に合わせた研究論集・研究論文の刊行が引き続き相次いでいる。これらを参照し、いくつかの文献については書評を執筆していく過程で、旧領からの避難民を、第一次世界大戦下の中央・東ヨーロッパで進行した住民の強制的な移動として、より広い視野で位置づけることの可能性も検討するようになった。この視点は、2021年10月の国際政治学会大会でのコメンテーターを務めた際にも活用した。書評に関しては今後公表される予定である。
なお、本年度は2021年6月にハンガリーで成立した「反LGBTQ+法」に関連して、特定の集団を「人種化」していく政治言説について考察する機会を得られた。現代政治に関する議論ではあったが、ハンガリー社会における統合と異化との関係の考察が不可欠である本研究課題とも視点が重なるところがあり、この成果も次年度に向けて生かしていきたいと考えている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

コロナ禍の影響でハンガリー国立文書館とブダペシュト市立文書館での史料調査に赴くことができず、研究計画の変更を余儀なくされているから。他方で、第一次世界大戦終結やトリアノン条約調印から100周年に合わせた研究論集・研究論文の刊行が引き続き相次いでおり、これらの研究成果から旧領からの避難民の位置づけについて新たな知見を得ることができた。

今後の研究の推進方策

本研究課題を進める上では史料調査が必須であり、この状況への対応策を考えることは非常に難しいが、オンラインで入手可能な文献で可能な限り研究課題を進め、海外渡航が再び可能となった時に直ちに調査に赴いて不足分を確認できるように準備を整える。短期での海外渡航が可能になり次第、ハンガリーの文書館で遅れている史料収集とそこで得られた史料の分析を進めたい。

次年度使用額が生じた理由

海外出張旅費として計上していたハンガリーでの史料調査を行うことができなかったため、次年度使用が生じた。次年度に繰り越した科研費は、海外出張旅費に回すか、それが困難な場合は図書費に回す予定である。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2022 2021

すべて 雑誌論文 (1件) 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件)

  • [雑誌論文] 「子どもの保護」の名の下に――ハンガリーの「反LGBTQ+法」とヨーロッパ政治2022

    • 著者名/発表者名
      辻河典子
    • 雑誌名

      ワセダアジアレビュー

      巻: 24 ページ: 31-36

  • [学会発表] Between National Unity and Local Identity: Intellectuals in Transylvania after 19182021

    • 著者名/発表者名
      Noriko TSUJIKAWA
    • 学会等名
      ICCEES 10th World Virtual Congress
    • 国際学会

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公開日: 2022-12-28  

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