研究課題/領域番号 |
20K13232
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研究機関 | 独立行政法人国立文化財機構奈良文化財研究所 |
研究代表者 |
谷澤 亜里 独立行政法人国立文化財機構奈良文化財研究所, 都城発掘調査部, 研究員 (50749471)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 日韓交渉 / 流通 / 交易 / 玉類 / 弥生・古墳時代 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、弥生・古墳時代併行期の韓半島と日本列島における玉類の出土傾向の分析から、東アジア周辺地域における玉類の広域流通動態を解明し、これをもとに日韓両地域の国家形成過程における対外交渉の具体的様相を考察することである。 2021年度は、前年度から継続して、日韓両地域の玉類の比較検討を行うための基礎作業を進めた。 前年度から取り組んでいる半島系管玉流入の実態の問題に関しては、福岡市博物館にて吉武高木遺跡出土玉類の実見調査を行い、出土量が増加する時期の半島系管玉や、これに共伴する翡翠製勾玉に関する基礎データを収集した。また、この作業を通じて弥生時代の北部九州におけるいわゆる「定形勾玉」の成立過程を再検討する必要性を認識し、関連資料の検討を進めた。 このほか、国内のいくつかの遺跡から出土した玉類を実見し、管玉のセット構成を調査した(於 岡山大学考古学研究室、滋賀県埋蔵文化財センター、赤穂市教育委員会)。また、古墳時代における翡翠製勾玉の広域流通様態を検討するための基礎データ収集も行った。 韓半島出土資料に関しては、前年度に引き続き、新型コロナウイルス感染拡大の影響により資料の実見調査が困難な状況であったため、報告書記載情報のデータベース化を継続して進めた。また、舎羅里遺跡、徳泉里遺跡などで墓地における玉類の副葬動向の分析を行い、半島東南部地域において、ガラス小玉や水晶製算盤玉の流通量の増減が列島西半部とおおむね連動する見通しを得た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウイルス感染拡大の影響に伴い、国外や遠隔地の資料の実見調査が困難な状況であった。国外の資料に関しては、既存の発掘調査報告書等から得られる情報を用いた分析を中心とする内容へと前年度に研究計画の変更を行っているが、国内の資料調査の実施にもやや遅れが生じた。
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今後の研究の推進方策 |
国内の関連資料の実見調査は、これまでに比べ実施しやすい状況にあると思われるため、計画的に進めていきたい。また、半島南部の資料については報告書から得られる情報からではあるがデータベースの拡充とデータの解析を進め、成果の発表を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
国外の資料調査・学会参加のために旅費を計上していたが、新型コロナウイルス感染拡大の影響により使用できなかった。次年度に国内旅費などでの使用を計画している。
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