研究課題/領域番号 |
20K13233
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
福永 将大 九州大学, 人文科学研究院, 助教 (50847093)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 縄文時代 / 九州 / 縄文農耕論 / 生業 / 遺物組成 |
研究実績の概要 |
本研究では、九州縄文時代後晩期の大規模集落遺跡から出土した遺物を悉皆的に調査し、狩猟用具・漁撈用具・採集用具・植物栽培用具の構成や組成比を検討することで、九州縄文後晩期生業モデルの構築を目指している。 九州縄文後晩期の集落遺跡は多く、遺物の出土量も多い。いきなり全てを分析すると膨大な作業時間がかかるだけでなく、分析や考察も漠然としたものになる可能性がある。そこで、令和2年度は、まず福岡県アミダ遺跡出土遺物の悉皆的調査を行い、アミダ集落における生業モデルを構築することで、後の分析・考察の見通しを得ることにした。令和2年度に行った具体的な分析・研究の内容は以下の通りである。 1)アミダ遺跡出土土器・石器の検討:福岡県嘉麻市所在のアミダ遺跡は、九州縄文後晩期の大規模遺跡の代名詞とも言える遺跡である。嘉麻市教育委員会のご協力を得て、2020年5月・8月・11月、2021年2月に、アミダ遺跡出土資料の悉皆調査を8回実施した。アミダ遺跡から出土している全ての土器・石器資料を実見し、出土資料の全体像を把握するためにデータベースの作成を行った。 2)遠賀川流域の縄文遺跡の検討:アミダ集落における生業モデルを構築する上で、アミダ遺跡周辺の自然環境の特性や、他の縄文遺跡を把握することは重要である。そこで、図書・報告書の参照や遺跡踏査を実施して、アミダ遺跡が立地する遠賀川流域の地理的環境や縄文時代の遺跡に関する情報収集を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
8回にわたるアミダ遺跡出土資料の悉皆調査によって、出土資料の全体像把握については概ね完了した。土器資料に関しては全資料の実見が完了し、石器資料のうち、剥片石器についてはデータベース作成や実測も完了した。遠賀川流域の地理的環境や縄文遺跡に関する情報収集についても順調に進んでいる。 しかし、新型コロナウイルス感染拡大に伴って、当初予定していた学生アルバイトの確保が困難となり、土器・石器資料の実測・写真撮影などの資料化作業が遅れている。また、他県への資料調査が困難であり、アミダ遺跡と同時代の他遺跡との比較研究が行えず、アミダ遺跡出土土器・石器資料の評価・位置づけを行う上で必要な基礎データ収集が十分に行えていない。
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今後の研究の推進方策 |
令和3年度も新型コロナウイルスの影響により、県外への資料調査の実施が困難となる可能性がある。そのため、アミダ遺跡出土の土器・石器資料の悉皆調査を完了させることを最優先課題として作業を進める。学生アルバイトの確保については未だ不安な面もあるが、できる限り令和3年度中に土器・石器資料のデータ収集・分析を完了し、アミダ集落における生業モデルの構築を目指す。また、合わせて論文投稿・学会発表の準備も進める。
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