研究課題
若手研究
九州縄文後晩期の大規模集落遺跡から出土した遺物を、未報告資料も含めて悉皆的に調査し、狩猟・漁撈・採集・植物栽培用具の構成や組成比を把握することで、九州縄文後晩期生業モデルを構築した。具体的には、九州縄文後晩期における大規模集落遺跡の代名詞とも言える、福岡県所在のアミダ遺跡を主な対象として分析を行った。その結果、植物栽培という生業の一要素を重視してきた「九州縄文後晩期農耕論」に再考を促し、狩猟・漁撈・採集・植物栽培をバランスよく組み合わせて生業活動を行っていた九州縄文後晩期の状況を明らかにした。
考古学
大規模集落遺跡から出土した遺物は未報告のものが多く、注目度が高い植物栽培用具は比較的重点をおいて報告されるなど、公表データに偏りがあることも少なくない。本研究では、未報告資料も含めた遺跡出土遺物の悉皆的調査を実施したことで、極めて良好な分析データを得ることができた。その分析データに基づいて、学史的な研究課題である「九州縄文後晩期農耕論」について再評価し、九州縄文時代後晩期の居住・生業活動の実態の一端を解明できた点は、重要な学術的意義を有する。