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2022 年度 実施状況報告書

古墳時代中・後期の外来系土器による畿内の手工業生産拠点と列島内外の地域間交流研究

研究課題

研究課題/領域番号 20K13240
研究機関奈良県立橿原考古学研究所

研究代表者

中野 咲  奈良県立橿原考古学研究所, 調査部調査課, 主任研究員 (00470279)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2024-03-31
キーワード古墳時代中・後期 / 土師器 / 外来系土器 / 韓式系土器 / 畿内系土器 / 伊勢湾岸系土器 / 手工業生産 / 地域間交流
研究実績の概要

古墳時代中・後期、畿内の王権は、畿内の内部領域に朝鮮半島から最新の手工業技術を移植し、窯業生産や鍛冶生産、馬匹生産など専業的な手工業生産拠点を運営した。地方勢力は、個別にこの生産拠点にアクセスし、最新技術を移入した。このような手工業生産拠点をめぐる地域間交流のうち、朝鮮半島→畿内や、畿内→地方の実態は、実証が進んでいるが、地方→畿内については不明な部分が多い。本研究では、畿内の手工業生産拠点出土の列島内外の外来系土器の系譜や出土の脈絡を検討し、手工業生産拠点が列島内外との活発な交流によって運営されていたことを明らかにし、畿内の王権による手工業生産拠点の経営戦略や地方勢力の活動の実態に迫る。
このような研究目的のもと、2022年度は畿内に隣接する伊賀地域の中期の土師器を分析することで伊勢・尾張地域と畿内地域の土器の系統的差異を整理した。この作業により、畿内・伊勢湾系どちらにも属さない伊賀地域独自の在地系土器の存在も明らかとなった。以上の成果を論文にまとめ、投稿した(2023年刊行予定)。
一方、畿内の土器に対しては、奈良県布留遺跡出土の土師器や韓式系土器である移動式カマドの未報告資料の整理を行い、成果を口頭発表した。また論文を作成した(2023年刊行予定)。
さらに、畿内の王権直営の牧と評価される蔀屋北遺跡の再検討プロジェクト(古代の馬研究会実施)に参加し、出土土器の分析を担当し、河内湖北岸の土器編年の作成と外来系土器の抽出を行った。成果は論文にまとめ、2023年1月に刊行された
以上のように、2022年度は畿内の土器様相の把握と、外来系土器の抽出、隣接する東海地域との土器系統の差異の整理を行った。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

4: 遅れている

理由

2022年度は、新型コロナウイルス感染拡大の影響が減少し、資料調査が可能となったが、2021年度に予定していた伊賀地域や播磨地域の調査を実施したのみに留まった。調査の進捗は全体として遅れている。

今後の研究の推進方策

2023年度は、西日本および東日本地域の土器様相を把握し、畿内との比較研究を進める。まず西日本地域については、兵庫県域の土器の資料調査を進め、西摂および播磨地域の土器様相を把握し、吉備地域の既存の土器編年と比較研究を行う。また、山城及び丹波・丹後地域の土器様相の把握に努め、山陰地域から畿内地域の土器様式の連続性を確認する。最後に東日本地域については、三河・遠江地域の土器様相を整理し、伊勢湾岸系と天竜川以東の東日本系それぞれの土器の特徴を抽出する。

次年度使用額が生じた理由

資料調査が近隣都道府県だったため、旅費の執行が出来なかった。次年度は遠方への調査を計画しているため、旅費の執行は可能である。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2023 2022

すべて 雑誌論文 (1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] 土器からみた河内湖北岸地域2023

    • 著者名/発表者名
      中野 咲
    • 雑誌名

      牧の景観考古学

      巻: - ページ: 95-116

  • [学会発表] 布留遺跡の移動式カマド2022

    • 著者名/発表者名
      中野 咲
    • 学会等名
      ここまで判った布留遺跡

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公開日: 2023-12-25  

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