本研究では、熱帯都市のシンガポール、ラゴス(ナイジェリア)と東京を対象として、高解像度数値モデリング手法で、降水量に対する都市の影響を明らかにした。具体的に、都市が局所的な降水の時空間パターンに大きな影響を与えることが示された。その影響は極端な降水にも及んでいる。そして、都市の影響は、対流性降水が支配的な熱帯地方で特に顕著である。都市影響のメカニズムとして、都市ヒートアイランド効果が境界層の不安定性を誘発し、水平方向の水分収束・対流の形成と降水を促進する。また、沿岸部の都市では、都市のヒートアイランド効果により海風が強まり、海洋からの水分供給が増加する可能性があることがわかった。
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