研究課題/領域番号 |
20K13259
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研究機関 | 立正大学 |
研究代表者 |
神澤 望 立正大学, 地球環境科学部, 助教 (40844923)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 夏季アジアモンスーン / 太平洋・日本パターン / 季節進行 / テレコネクション |
研究実績の概要 |
日本の夏の気候は中緯度と熱帯それぞれから影響を受ける。熱帯からの影響については、フィリピン周辺の対流活動が活発だと日本周辺の気圧が高気圧性偏差となる「太平洋・日本パターン」が知られている。本研究では,太平洋高気圧が中緯度で,モンスーントラフが熱帯でそれぞれ発達し,循環場が大規模に変わる7月を中心に、夏季アジアモンスーンの季節進行が日本に猛暑をもたらす典型的な気圧配置である太平洋・日本パターンの空間パターンにどのような影響を与えるか、調べることを目的としている。 本年度は第6期結合モデル相互比較計画(CMIP6)に参加した気候モデルについて、過去実験と温暖化実験を解析して背景場である夏季アジアモンスーンの季節進行や太平洋・日本パターンの再現性や将来変化について調べた。解析対象の気候モデル数は2021年度より増やした。16の気候モデルの実験結果を用いたマルチモデル解析の結果では、背景場の変化として、太平洋高気圧の発達のタイミングが変わること、夏季アジアモンスーンの夏季平均降水量が増加し、夏季季節内でも増加量が多い地域が移動することが示唆された。また、太平洋・日本パターンに関しては、コンポジット解析を用いて空間パターンの変化を確認した。日本が熱帯の影響を最も受けるタイミングが観測データと少しずれるものの、マルチモデルではある程度太平洋・日本パターンが再現されていることが確認され、将来は空間パターンのコントラストが強まることが示唆されていることを確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
観測データと気候モデル、また気候モデル同士で比較をするのに空間パターンの分布やその強度が異なるので、着目したい現象を気候モデル間で比較する際に適切な指標を設定するのに時間がかかっている。
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今後の研究の推進方策 |
マルチモデルだけでなく各気候モデルの太平洋高気圧やモンスーントラフといったアジアモンスーン循環場の将来変化と太平洋・日本パターンの将来変化を確認し、全体として背景場の変化と共通する傾向があるか調べる。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルスの影響で参加した学会や研究会が一部オンラインとなったため、旅費が想定より計上されなかった。繰り越した研究費は、旅費(もしくはオンラインで開催される学会・研究会等へ参加費)や必要な機器の物品費に使用する予定である。また、論文の英文校閲費や投稿料に使用する予定である。
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