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2023 年度 実績報告書

蝦夷地における風景の重層性解明-アイヌと和人の風景観に関する歴史地理学的研究-

研究課題

研究課題/領域番号 20K13272
研究機関京都府立大学

研究代表者

阿部 美香  京都府立大学, 文学部, 特別研究員(RPD) (80806860)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2024-03-31
キーワード風景観 / アイヌ民族 / 和人 / 江戸後期 / 東西蝦夷山川地理取調図 / 地名 / 分布
研究実績の概要

松浦武四郎作「東西蝦夷山川地理取調図」のうち、択捉島と国後島を除く蝦夷地を検討対象とし、記載される全ての地名を、道や人家等の記号との関係と共に整理した。検討対象とする地名総数は9366であり、そのうち、肯定的な意味を持つ地名として,「ペレケ(ヘケレ):明るい」「ピリカ(ヒリカ):美しい・綺麗・良い・立派」「ポロ(ホロ):大きい」「カムイ(カモイ):神」「モシリ:静かな大地」「トム:輝く」「ミケ:輝く」が付く182の地名を選出した。それら182の地名の意味を、萱野(1996)や山田(2000)をもとに訳出した上で、当該地名の分布図を作成した。その結果、必ずしも人家のある所に抽出した分布点が存在する場合ばかりではないと判明した。また,特に道央の夕張山地や天塩山地付近等,少なくとも和人が認識・使用した道や,運上屋等の交易に関わる場所から離れた場所にも,アイヌの人々が特別視したと考えられる場所は存在することが分かった。
地名とその分布から考えられるアイヌの人々の風景観と,蝦夷地の案内記から読み取りうる和人の風景観や場所認識とを比較すると,風景や場所を評価する際の観点が両者で異なる可能性が高い。特に,和人が海産物や鉱山資源等を得られる場所,高所からの眺めや見晴しの良い場所などを評価していたことに対して,アイヌの人々はその土地における生活者の目線で,アイヌの人々の自然観・山や川などの自然に畏敬の念を持ち,時に神の存在を見出すアイヌの人々の場所認識と共に捉えた風景観を有していると考えられる。

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公開日: 2024-12-25  

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