本研究は、演技の一回性・即興性を特徴とする俄(にわか)という民俗芸能を対象とし、演者と観客のやり取り、演技に対する評価のあり方、演技の制作過程等に注目し、民俗芸能の演技がいかに創造されているのかを検討した。本研究課題を検討するために岐阜県美濃市、大阪府富田林市、熊本県阿蘇郡高森町の3地域で調査を実施した。 その結果、俄の場合、1)その地域の方言やその地域内で共有されている具体的な地名・人物を用いて演じることで、時事的な話題をローカルな文脈に置き換えていること、2)演技の創造過程において、芸能を「見る」観客にくわえ、地域によってはプロ(専業)の芸人の影響関係も注目する必要があることを明らかにした。
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