本研究では、ミクロネシア連邦ポーンペイ島を対象とし、在地に生きる人びとが自らの振る舞いを「より善い」実践へと洗練させるプロセス、すなわち、日常倫理(=住民による「より善い」実践の日常的な探求)の様相を検討した。コロナ禍を理由とする調査地の国境閉鎖により実地調査こそ叶わなかったが、文献資料及び過去の調査資料を分析することによって、この課題に対する一定程度の知見を獲得することができた。具体的な研究結果として、1)儀礼的な相互行為の場の秩序を保つために住民たちが複数的な価値の間で「判断」を行使すること、2)奇抜な食物展示など、代替的な儀礼実践の模索を通して、より善い価値を追求することを明らかにした。
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