研究課題/領域番号 |
20K13291
|
研究機関 | 久留米大学 |
研究代表者 |
神本 秀爾 久留米大学, 文学部, 准教授 (30732622)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
キーワード | ジャマイカ / 葬送 / 葬儀業者 / 土地 / 都市化 / 宗教 / ポピュラー音楽 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、葬儀業者のかかわる葬儀が一般的になっているジャマイカ都市部(首都キングストンおよびスパニッシュ・タウン)における死者の悼まれ方を明らかにすることである。ジャマイカで暮らす人びとの9割以上は西・中央アフリカにルーツを持ち、そのほとんどは奴隷の子孫であることから、本研究ではジャマイカ国内においてエスニック・マイノリティである中華系やシリア・レバノン系、宗教的マイノリティであるユダヤ系の葬送実践は主たる研究の対象とはしていない。本研究が主に対象とするのはジャマイカ黒人の貧困層を中心に流行している、派手さを重視した葬送実践である。 本研究課題を設定時、文献研究と現地調査を組み合わせて推進する予定だったが、コロナウイルス感染症の世界的流行により2020年度および2021年度に現地調査を実施することがかなわなかった。そのため、2020年度と同様に2021年度においても入手可能な文献にもとづいた文献研究を中心におこない論文を執筆した。 文献研究で課題としたのは、①ジャマイカの都市政策や葬送に関連する法、②都市部住民のライフスタイルに関する文献、③近隣の旧英領カリブ海地域の葬送に関する文献を読み込み、現地調査では④葬儀業者の実態の把握、⑤葬送の一般的な傾向と多様性の把握、⑥死者と生者の関係の把握である。 2020年度には、奴隷制期からポスト奴隷制期、キリスト教化の進展という歴史的変化のなかでの葬送習慣や宗教的世界観の連続/断絶という観点から情報を整理し、現代ジャマイカに おける葬送を理解するための基盤を構築することができた。その成果を踏まえ2021年度は2019年度に実施していた現地調査データと組み合わせ「墓の形態の変化」に注目した分析にもとづく論文を執筆することができた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウイルス感染症流行のため現地調査を実施できておらず、収集予定のデータを集めることができていない。一方ですでに収集していた現地調査データについて新たな視点から見直すことができた結果、現代ジャマイカにおける死生観の一端を明らかにすることができた。
|
今後の研究の推進方策 |
所属機関の状況にもよるが、現地調査が可能となった場合は現地の状況に合わせて調査計画を修正しながらデータの収集を進める。不可能だった場合も補助事業期間の延長を予定している。
|
次年度使用額が生じた理由 |
コロナウイルス感染症流行のため現地調査を実施することができず計画していた旅費、人件費・謝金を使用していないため。
|