研究課題/領域番号 |
20K13293
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研究機関 | 総合地球環境学研究所 |
研究代表者 |
大澤 隆将 総合地球環境学研究所, 研究部, 上級研究員 (40795499)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | インドネシア / エスノ・ジェネシス / 生業 / エスニシティ / 資源利用 / 文化人類学 |
研究実績の概要 |
本研究は、インドネシアの東部スマトラに暮らす諸民族集団の文化・歴史に関する比較研究を通して、東南アジアにおける民族の分枝・形成と維持・存続の歴史過程を追究するものである。昨年度の研究実績として、インドネシア、リアウ州に暮らす先住民集団であるプタラガンの人びとのエスニシティと生業選択について、文献および過去に入手したデータを分析し、当該地域のエスニシティの理解を進展させた。 プタラガンの人びとが独立以前の数百年に渡り、当該地域を支配した地方国家により土地と資源の自由な利用が認可されていたことを確認した。それと同時に、この慣習権が認められた土地が、プタラガンの共同体内部では母系制の慣習法により継承されてきたことが、沿岸部に暮らす「沿岸ムラユ(沿岸マレー)」の人びととの区別が存在している大きな要因の一つであることを明らかにした。この研究を、今日でも行われている漁業中心の生業の側面に接続していくこと、また、プタラガンに限らず、他地域に暮らすアキットやスク・アスリの人びととの比較を行うことが、今後の重要な課題である。 ただし、2020年春から続くコロナ禍により、予定していた出張や現地調査・インタビューが思うように進んでいないのが現状である。下記に示した通り、本年度7月以降に、初年度に予定していた出張や打ち合わせを行い、研究活動を順次進展させていく予定である。 なお、2021年度は、本課題に関係する研究発表を6件(うち国際学会1件、国内学会1件、国内研究会4件)行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
コロナ禍における出張制限により、本課題に関する十分な研究時間を取れていないのが現状である。2022年度の7月以降には、コロナによる出張制限の解除に加え、ある程度まとまった研究時間が取れる見込みであるため、これを利用しながら研究を進展させたいと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
2022年の7月後半および8月にかけてアメリカ出張を行い、リアウ州を研究対象とする研究者2名との打ち合わせを行う予定である。そこで、来年度に予定している国際会議のTORおよび詳細について、ブラッシュ・アップさせる予定である。加えて、10月前後にインドネシア出張を行い、現地でのインタビューを行うとともに、現地大学のパートナーとの折衝をおこなう。 以降、2023年の年頭には、国際会議の参加者に対するペーパーのリクエスト、および、招待状の送付を行い、2024年の秋ごろには、インドネシア、リアウ州のプカンバルにて国際会議の開催を予定している。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍に伴う出張制限により、予定していた旅費の多くが支出できなかった。予定を2年程度あと倒しにし、本年度夏ごろをめどに本格的な研究活動に入る。なお、本研究課題は本年度が最終年度の予定であったが、1年の延長を申請し、そこで国際会議を行う予定である。
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