研究課題/領域番号 |
20K13294
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研究機関 | 国立民族学博物館 |
研究代表者 |
八木 百合子 国立民族学博物館, グローバル現象研究部, 助教 (80622133)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | アンデス / キリスト教 / 聖人信仰 / 奉納品 / 寄進 / 教会記録 / 宗教性 / 物質文化 |
研究実績の概要 |
本年度は、予備調査の情報を精査のうえ、調査対象に選定した3つの教区のうち、主としてB教区に関する記録の分析をおこなった。 1)B教区に2018年までに納められた奉納品(スダリオ)330点の画像を解析し、奉納品に残された奉納者の情報を読み取った。 2)奉納品に描かれた紋様について、関連書籍ならびに修道院関係者の助言をもとに、図像学的な分析をおこなった。 3)B教区に関する予備調査の内容を整理して、スペイン語の報告書"Catalogo de los Sudarios del Senor de los Temblores"(全111頁)を作成し、クスコ大司教府文化財管理局に提出した。また、ペルー文化省とカトリック司教協議会(Conferencia Episcopal)文化財委員会が主催する、教会関連施設の文化財の保全に関する国際会議(VII Encuentro de Responsables de Bienes Culturales en el Bicentenario-PANEL INTERNACIONAL)において、これまでペルー南部地域の教会でおこなってきた寄進財に関する調査について報告した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
現地への渡航の目途がたたず、本年度に予定されていた調査が計画どおり実施できなかった。他方、メールやウェブ会議を積極的に活用することで、現地機関との調整や、調査対象に関する情報収集の一部はすすめることが可能になった。
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今後の研究の推進方策 |
現地調査が可能になった段階で、クスコ市の教会で奉納品に関する実地調査をおこなう。渡航が難しいと判断される場合は、教区関係者を通じてキーパーソンとコンタクトをとり、ウェブ等を活用して可能な範囲で聞き取りおよび情報収集をおこなう。 また、宗教的寄進財に関する文献資料を読み込み、奉納品にまつわる宗教的な意義のほか、社会的・政治的象徴性等についても抑える。このほか、国内においては、近年のクスコ市内の人口増加にともなって変化する教区住民の動向について、出身地域や経済状況等、既存の文献や統計データも活用しながら把握することを目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
COVID-19の感染拡大により現地への渡航および調査が予定どおり実施できなかったため。次年度に繰り越された経費については、現地調査費用として使用する。
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