研究課題/領域番号 |
20K13297
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研究機関 | 国立民族学博物館 |
研究代表者 |
伊藤 悟 国立民族学博物館, 人類基礎理論研究部, 外来研究員 (90633503)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 詩的オラリティ / タイ系民族 / 感性 / 声と文字 |
研究実績の概要 |
本研究は、日常を美学化する詩的オラリティに着目し、その現代的意義を再考することを目的とするものである。事例として、中国、タイ、ミャンマーに暮らすタイ系民族の人びとが取り組む、声と文字の文化の草の根継承活動をとりあげ、個人が感覚的に共有してきた詩的オラリティの客体化と伝承体系の革新の過程について民族誌データにもとづく比較研究を行う。 本年度は、前年度と同様に新型コロナウィルスの世界的流行による海外渡航制限がつづいており、現地調査を実施することができなかった。現状では、現地調査にもとづく民族誌データの収集にとりかかることができないため、インフォーマントや現地の活動状況について主にSNSを通して情報収集している段階にある。 このような状況のため、今年度は主に本研究採択以前に収集したデータの整理、欧米などでの研究機関において収蔵されているタイ系民族の文字経典・書物の把握につとめた。また、SNSのなかでは、声や文字の文化の継承に取り組む様子が投稿されていることもあり、取り組み状況についてリサーチを行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
前年度と同様、本年度も新型コロナウィルスの世界的流行を受けて海外渡航が制限されたことにより、現地調査を実施することができなかった。そのため必要な民族誌データの収集にとりかかることができていない。現状は、インフォーマントらの現地の活動状況について主にSNSを用いることで情報収集を継続している段階にある。
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今後の研究の推進方策 |
ようやく新型コロナウィルスの感染拡大がおさまりつつあり、各国の渡航制限も緩和されてきている。次年度からは下半期に現地調査を実施する計画を組む。 ただ、現在のところ、まだ調査対象とするグループ活動は自粛が続いているとみられる。そのため、下半期に計画する現地調査までにSNS等を活用して個人の日常実践レベルの活動内容を把握し、現状理解と動向の注視に努めたい。 また、比較や分析視座の批判的考察を兼ねて、日本国内における類似の実践についてもフィールドワークする機会を探る。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度も新型コロナウィルスの世界的流行による海外渡航制限のため、予定していた現地調査を実施することができなかった。このため大部分の予算使用を見送った。 ただ、次年度以降は規制緩和が見込まれており、中国とタイ王国にて現地調査を実施する予定である。また、渡航費用や人件費など必要経費については、渡航ルールの変更や現地のインフレなどの経済的要因から、当初予定していた調査毎回の、あるいは個別経費の単価が大幅に上昇すると見込まれる。そのため次年度以降の支出は大幅に増加する予定である。
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