本研究の目的は,奴隷制が廃止された1865年から20世紀初頭のアメリカ社会において,アメリカ合衆国憲法修正第13条(以下では単に「修正第13条」と記す。)がいかなる規範として用いられたのかを明らかにすることである。 そして,本研究では,同時期の立法および判例の分析を通じ,修正第13条が,奴隷制を廃止するという直接的な意義だけに留まらず,経済的自立とそれに伴う市民性を持った個人を創出する際の根拠として,また,強制労働および人身売買を抑制するための法的土台としての意義を有してきたことを明らかにした。
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